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30のお題・)10ソウルイーター

2012.02.13 (Mon) Category : 30のお題


ちょっとそろそろオフラインの原稿やらないとって時期になってきました。
でもここで一旦更新停止とか、私が読む側だったら鬼かって思うな・・・ヘヘ・・・。

という続きでーす。
実はこの1タイトルだけで済むかなと思ってたら、全然済むわけない長さになっちゃって、結局わけるしかなくなったっていうね!
見切り発車良くない!(苦笑)

公式ガン無視シリーズ
29)通過地点 の続きです。

え、霧の船? 時間関係ないって言ってましたよね? それって時間経過しないってことじゃないんですか?
ってことはあれとは別に紋章奪われてた時期があったってことですよね?

という、例によって過去捏造です。
毎度のこと過ぎてもう驚きもしねぇよっていう、大分俺色に染まってくださった貴方は、顔文字君からどうぞ!
長めなんで心してかかってください!(苦笑)


拍手ありがとうございます! コメントはまとめて後日お返事させてください!
ありがとうございます! てれてれ!




拍手[12回]









「・・・・・設定時間を超えました。変化見られません」
「相変わらず動きなし、と」
「三年近くになりますか」
「ああ。本当一途だね」

 そうそう、あの本の著者は私なんだよと、事もなげに言い放った男は、上位どころか最高位クラスだったらしく、フィクスと呼ばれ、しかも様と敬称まで当たり前のように付けられているほどの人物だった。
 そんな上の人間が何で閉館作業を手伝っているのかと問えば、何となくとか居合わせただけとか、はぐらかしているような本当に深い意味などないような、よく解らない返答をしてくれる。
「騙された。」
「人聞きが悪いね。騙していないよ」
 ただちょっと持っていかなければいけない書類が見つからないだけで、と背後でバサバサ盛大な音を立てている様子に、テッドはげんなりしながら振り向いた。
「・・・すみません、失礼かとは思いますが、私がやりますんで手を出さないでいただけますか。」
 どう考えても、その動きは探し物をしている動きではなく、余計に散らかしているとしか思えない。
 頷いて案内されるままついて行ったのは、図書館の奥から続く、関係者以外立入禁止と書かれ見張りが立つ建物だった。圧巻されたあの宮殿の端の一角にあり、ハルモニアの紋章研究施設すべてを束ねる機関が入っているのだという。
 もちろん研究施設も兼ねていて、未解明の紋章の研究も行われており、テッドが揶揄し、否定もされなかった『ハルモニア』こと真の紋章は、その最重要区域で研究されている、らしい。
 施設に行く前に、丁度ついでだから指示書を持っていこうと、恐らく執務室に立ち寄れば、その惨状に思いがけず足止めを食らう羽目になった。
 物が多すぎる。物、というか、紙類が。
 執務机までまっすぐ最短距離で続く部分と、そこから机を迂回して椅子までの部分しか床が見えない。正確には、その僅かな部分にさえ、所々に書類が落ちているのだ。
 古文書やら魔法書やらの本、メモのようなものからしっかりとまとめてある研究書類、果ては稟議や決裁。恐らく執務室、としか言えないのは、書庫と言われてしまえば納得できる状態だからである。
 そんな中から、たった一枚の書類を簡単に探し出せるわけもなく。
 衝撃的な言葉に覚悟を決めて足を踏み入れたものの、いきなり予想外の初っ端で躓いた。
 ボス格なのに使えないってどういうことだ。
「・・・これ、図書館の貸出票ついてますけど」
「ああ、半年ほど前に借りた覚えがあるね。どこに行ったのかと思っていたよ」
「・・・・・こちらの書類は日付が去年のものですが」
「それは担当者が後日改めて提出して来て、目の前で私の確認が終わるまで待っていたから、もう終わっている書類だよ。今頃出てきたようだね」
 ダメだ。
 見つけられる気がしない。
 難なく入りこむことに成功しても、このままではそれだけで、先に進もうにも進めない。紙の山になっている部屋を再度ぐるりと見回して、あーと途方に暮れた。
「そういえば君は、神話や伝説や民俗学は専攻しているのかい?」
 手を出さないでほしいとの申し出におとなしく従い、周りに散らばる紙を眺めながら言う。相変わらず会話の軸はポンポン飛ぶが、そこまで突飛ではなく、テッドも特に違和感なく理解ができた。
「この紋章世界の根底に、古い本の存在がありますから。昔話や叙事詩にも、何らかのルーツがあるとは思っています」
 誰もが知っている紋章神話の一番最初、古い本第一巻の、世界創造における一節。実際に紋章という存在がある限り、真偽の度合いは置いておいても、無視はできない。
 今も伝えられている物語においては、大いなる力や光、という表現の仕方をされているような、人とは違うなにかも、表記が違うだけで紋章だったのではと、研究者たちの間でつい最近になって囁かれ始めていた。
「思っていた以上に長けているね。にわか研究者より、よほど目の付け所がいい」
 やはり研究しているうちの一人なのだろう。山のような本の中には、研究書に混じって同じくらいの冊数、民話や伝奇も積まれていた。
「少し前からずっと調べていて、やっぱり紋章が関係しているもの少なからずあるようでね」
 書類を探す手を休めず、かつ片付けながら作業するテッドの背中に向かって口を開く。
 どこまでの評価をされているのか解らないが、少なくとも、研究に関する会話ができるレベルではあると見なされているらしい。半身だけ振り向いて、はいと言葉にすると、また紙の束へと顔を戻しつつも、耳は聞く態勢を取った。
「過去の大戦や口伝なんかに、英雄として扱われているものや強大な敵と扱われているもののいくつかが、別の文献や言い伝えと照らし合わせて、紋章の力だったと判明しているんだよ」
 それがあったから、物語の研究が見直され始めたんだけどね、と手近にあった本を手に取って言う。
 テッドも旅先で見聞きしたものが沢山あるが、ハルモニアに集約されるそれはどんなものかと、表面上は平静を装っていても、内心は興味津々で手を動かした。
「判明したんですか」
「とは言っても見たわけでもないし、当事者たちはもういないから確証はない。総合的な判断と、紋章があったという事実から、そう確定したという話でね」
「紋章が? あったんですか?」
 さすがに驚きを隠せず、全身で思い切り振り向く。何がなくても紋章があれば、それだけでほぼ確定に近い。
「あったよ。確保できなかったものもあるけれど」
 本のページを無造作にパラパラと進ませて、不意にぴたりとその手を止める。にこりと口角を上げ、文字列をなぞるように指を動かした。
「世界を飲み込んだ洪水伝説は知ってるかい?」
「有名どころですね。専攻する者が一番最初に通る話です。・・・ですが、だからこそ紋章の力が明らかになったというなら、もっと大々的に話題になるはずでしょう。そんな話は聞きませんが」
「そうだろうね、箝口令が敷かれてる」
 開いたまま積んだ本の上に重ね、空いた両腕を組んで少し遠くを見るように視線を飛ばす。
 テッドが表情だけで問うた何故、に、僅かに考える素振りを見せた後。
「舟が今でもそこに眠っているんだよ。永久凍土にほど近い、氷河の奥深くにね」
 さらりと告げたのは、裏付けにこれ以上はないという、伝説を示す一端。驚きのあまり何も発せないテッドに更に続けた。
「その辺りの雪氷現象も紋章の力が働いているもののようで、溶かすそばから氷になっていく。やっとの思いで紋章を引きずり出してきたんだよ。というか、それが限界だった」
 私たち人間にはね。

 ごろりとベッドに仰向けに転がり、特別なものなどない宿の天井を見つめる。
 あの後、掠れそうになる声で、それでもどこにと尋ねれば、ほら、そうなるから箝口令が敷かれたのだよと苦笑された。
 見つけられたのは真の水。発動されたのはいつ、そして誰が。全く解らないまま今でも力は継続されているのだという。
(・・・で、それは引き剥がしても変わらなかったと)
 場所を移して効力が切れたのならば、氷河は溶け舟への道が出来る。けれど眠ったままだと言った。そういうことだ。
 他の国や団体に先を越されないための箝口令だろうが、それにしてもハルモニアが動いているという様子も窺えないし、話も聞かない。
(絶対に辿り着けないってことか・・・)
 放置せざるを得ないと判断されたのだ。
 それだけ強い力が働いていると。
「人間の限界、ね」
 呟いた自身の声がやけに響く。
 紋章神話が根付くこの世界ではあまり考えが及ばないが、百万世界の別次元では、人を越えた何かはただ神という曖昧な存在で登場する。天地を創造し、全てのものに生きる権利を与えた存在。
 あたかも紋章と同じに。
 神殿に祀られているのは、存在の不確かな偶像ではない。紋章や過去の偉人である。
 だからこの世界で神に祈る、という行為は曖昧な何かに対してではなく、明確なものへの信仰や敬愛を経て捧げられる。想像信仰もないわけではないけれども。
(紋章は神か)
 信仰対象の最たるものと言っても過言ではないだろう。良くも悪くも誰もが望む。
(・・・それとも)
 百万世界の神は時として、悪魔と同等にも扱われる。
 奇しくもそれも、真の紋章と同じ。


「本当いい加減にしてください。」
 結局書類は見つけられず、終業時間だと簡単に打ち止めを言い渡された。これじゃ片付けに来ただけじゃねぇかと、喉元まで上がってきた言葉を何とか飲み込んで執務室を後にし、翌日改めて来てみれば。
「君の手を煩わせないように、自分で探してみたのだけどね」
 探したという状態か、これが。
 暴れたの間違いじゃないのか。
 惨劇過ぎて、近場の本棚に懐いたまましばらく動けそうにもない。昨日きちんと並べて片付けたはずの本が、入口すぐに雑然と積まれていれば誰でもそうなる。
「結論として、見付けるのは諦めようと思う」
「え。昨日の私の苦労は。」
 その上さらなる衝撃を受け、ぐりんと音がしそうな勢いで振り向いたテッドに、満面の笑顔でつけペンを見せつけるようなポーズを取った。
「もう一度書類を作ろう。それで万事解決だよ」
 確かにその方が早い。妙な脱力感と、釈然としない何かに襲われるけれども。
 出来上がるまで適当に待っているといいと言われ、目に留まった古い伝承を集めた古事記を引き出した。
「その本、一つ一つの話は短くて、繋がっている物語ではないんだけどね」
 机の上の書類と本を、床から同じくらいの高さにまで積まれている、別の本や書類の上に無造作に置いて、書くスペースを広げながらの台詞に、テッドが一度落とした視線を上げる。
「気になる文言があるんだよ」
 言いながら引き出しから何も書いていない紙を取り出し、ペンにインクを乗せた。立ったままでも淀みなく動く指先は慣れているもののそれで、やはりこの部屋の主なのだと思わせる。
「注視してページを捲っていると、ある一定の括りがある者たちの中に、比較的よく出てくる単語でね」
 書かれた時代も土地も違うようなのだけど、と口にして、別の引き出しから角印と朱肉を取り出した。そのまま力を入れて押印し、書類を完成させて顔を向ける。
「さぁ出来た。待たせたね、行こう。話は歩きながらで良い」
「あ、はい」
 待つというほど待たずに完成した書類に、だったら最初からそうしていれば云々のような言葉は間違っても音にせず、手に取った本を元の場所に戻した。部屋のドアを開けて待つ姿に、促されるようにテッドも続く。
 神殿の尚奥に進み、差しかかったのは更に警備が厳重な区域。
 首を巡らせると、柱には古代シンダル語が刻まれ、封印と効力無効の術が重ねてかけてある。明らかに、内側にある何かへの対策だ。
 通路に立つ警備を顔パスでクリアし、躊躇なく歩を進めた横顔にならい、踏み出したテッドがその異質な空間に気が付いた。
「解るのかい? 柱の文字や術も理解していたようだし、さすがだね」
 顰めた表情を見とめたらしく、向けた顔は面白そうに口角を上げている。特別区画だというここは、神殿の研究者でも限られたものしか進入を許されていない。
「とても永い間、たった一つを待ち続けて眠っているのだそうだよ」
「え?」
 脈絡もなく唐突な内容に、テッドは何のことか解らず、斜め上の綺麗な顔を見上げた。
「月や夜といった、陰陽でいえば陰側の一族にのみ伝えられてきた、御伽噺の類のようなのだけどね」
 そのまま語られる話で、さっきの本の考察だと思い当たる。
 随分と琴線に触れたらしく、実に楽しそうな声色で紡がれる内容に、けれどテッドは何か引っかかりを覚えて眉を寄せた。
 月と夜の一族。
 それは、もしかして。
 月の紋章と夜の紋章の。
「全ての闇の頂点を統べるもの ――― 闇の王」
 ドクリと心臓が大きく脈を打つ。
 歩幅は、肢は不規則にならなかっただろうか。息は乱れなかっただろうか。喉は。全てが停止しそうになるのを叱咤し、努めて平静に言葉を紡ぐ。
「闇の王、ですか」
「正式名ではないようなのだけどね、そう呼ばれている存在があるようだよ」
 そう。
 それは右手の死神につけられた字。
 確かに自分も知っている。だがそれは、書物などには載っていない、はずだった。月も夜も他の闇の眷族たちも、生き残りなどほとんどなく、唯一、世界の生き字引のごとき時を生きる始祖のみが、口伝にて残している。
「あの本は元々、ハルモニアの持ち物じゃないのだよ。昔、確保し損ねた紋章を守る一族のところにあったものだ」
 見上げたままで逸らせない視線は、まっすぐ前を見て歩く横顔を捉えている。口元を緩ませた表情で愉しそうに放つ声。その出所も内容も、テッドにとってとても貴重で重要なものだが。
「『門』だよ。一族は、紋章を持って逃げたもの以外はもうない。村ごとね」
「・・・ッ・・・!」
 聞き覚えがありすぎた。
 ハルモニアに紋章を狙われたのか。
「まぁ、その闇王が何で、闇王の待つ唯一というものが何なのか、肝心なことは全く書いていなかったから、それ以上の研究は諦めるしかなかったのだけれど」
 本や文字などが、今よりももっと限られた、極めて一部の者たちの間でしか与えられなかった時代の物語だ。
 恐らく、門の一族が何らかの理由で書き記した、ほかには出回ることのないものなのだろう。そういえば、インクとは違った色合いと滲み方をしていた。樹液か何かを使用して書かれたのかもしれない。
 全部を読む時間などなかったことが悔やまれる。
「それで」
 昨日見付けていれば、借りることも可能だったかもしれないのにと唇を噛んだら、上から音が降ってきた。その違いに顔を上げると、前に向けていたはずの翡翠の双眸が、こちらを向いている。
「数年前から研究してるものがあるのだがね」
 にこりと笑って歩みを止めた。
 目の前にある扉に手をかざし、微妙な魔力調整をすると、それに反応して扉の文様が浮かび上がる。一瞬の発光のあと、音もなく開かれた扉。
「さぁ、入るといい。君の言う『ハルモニア』の一部だ」
 日が海に沈む直前の彩に似た緋で空間を満たし、いくつものとぐろを巻く漆黒を纏う、中央の球体の真ん中に浮かぶそれ。
 ザワザワと足元から何かが這い上がってくる感覚と。
 生温い何かに撫でられているような右手の感覚と。
 あるわけもない昏い瞳に見据えられている感覚と。
 いつまでも慣れない、慣れるはずもない、背中を粟立たせる闇の気配。
「何の反応もなくてね、力も名前も何の詳細も解っていないのだけれど」
「・・・なら、どうしてこれが真の紋章だと?」
 心臓の早鐘につられないよう、精一杯の虚勢を保つ。全身の神経がピリピリと訴えかけてきているのが解るが、目の前にあるのは、まぎれもなく。
 二十七の真の紋章。生と死を司るソウルイーター。
 テッドの、闇王。
「同じものを見たことがない、記述にもない、壊れない、触れない、理由は色々あるが、何よりも私が『そう』だと感じる」
 シグナルの矛先はソウルイーターではない。ソウルイーターの唯一は、テッドだ。故に、ソウルイーターがテッドを傷つけることは有り得ない。
 ならば、警鐘を鳴らす相手は。
「そういえば自己紹介がまだだったね」
 カツ、と今までは気にもならなかった靴音が硬質に響く。
 尋ねたことも、教えられたこともない。門番やほかの研究者が恐縮したように呼び、道を開ける様子を見て、雰囲気を捉えていただけだ。
 名など。
 身分など。
 まさか、こんな風にフラフラ出歩いているなど、思わないではないか。
「私はヒクサク・フィックスド。『円』の継承者だよ」
 予想通りの答えを返した美貌の統治者が、悠然と微笑んだ。







教会とかシスターとか、そういうのないよなー。
じゃあいわゆる神様ってのはいないのか、懺悔室はあったけど、中の人キーンとよんさまだし。(笑)
っていう考えから、伝説とか神様とかの辺りはでっち上げ。
名前も勝手につけた。(苦笑)
もう一回(多分)続きます。

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HN:
月島うらの
性別:
女性
自己紹介:
ただひたすらに、テッドへの愛を叫ぶ。
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