300歳ブログ
300歳のためのブログだよ!
30のお題・)20海
2011.02.25 (Fri) | Category : 30のお題
うおおおお書けるときに書くんだぜ!
いつの間にかお題も三分の一消化なんだぜ!
書きやすいのから書いてるから後半どうすればいいのか悩むんだぜ!
300年とかありがとうとか一生のお願いとか、目からソウルイーターなんだぜ!
セルフエコノミー! 前 が 見 え な い!
あ、そういえば主人公設定の王子と団長を少し付け足しました。(結構前)
ほとんど設定とはいえない設定ですが、中途半端なままだったので。(苦笑)
最近うっかり実況動画見ちゃったもんだから、王子の名前を某煙草にしそうになったわ・・・。
というわけで今回は4時代です。
海だからね!(安易)
「待て、やめろ!」
「・・・・・・え?」
何かがおかしい、集められた紋章の気配にそう感じ、練り上がったものに不安定さと綻びを見つけて叫ぶ。けれど、発動寸前まで紡がれていた術は、そう簡単には止まらなかった。
ガクンと上下に揺れるような感覚のあと、ぐにゃりと空間が歪みを帯びる。
「おわっ・・・!?」
通称甲板掃除と呼ばれる、船残留組の魔物退治班メンバーだったロウハクが、バランスを崩して片膝をついた。
本日の掃除当番で魔力値がそれなりのアルドはまだしも、それなりどころではないテッドは、異常な膨れ具合に身を硬くする。暴発だ。
「あれれっ!?」
ようやく気付いた様子の声が耳に届くが、もう遅い。
「わたし、失敗しちゃった?」
たまにやらかす瞬きの紋章を持つ少女の、どこかのミグミグ族が言いそうな台詞で発動した術。
疑問系などではなく、確実に失敗だった。
ザパーン。
砂浜が白い。
海が青い。
緑が濃い。
絶景だと素直に思う。ここが孤島で、自分たちしかいないのではないのなら。
「・・・まさかのビッキー無双・・・」
「・・・・・」
ある意味言い得て妙で、濡れ鼠で隣に立つリーダーの少年へのツッコミはやめておいた。というより、する気も起きない。同じく飛ばされたアルドとロウハクも、ぐったりと無言のまま立ちすくんでいる。
次の島までの航海は順調だった。
資金繰りやら素材集めやらで篭った結果、各自の能力も大分上がり、組むメンバーの相性はあれど、誰が当番になっても特に苦もなくサクサク進めるほど。
そんな折に現れた魔物も珍しい相手ではなく、見慣れた、程よく手を抜いても充分倒せるくらいの、言ってしまえば雑魚だった。
隙から来る油断だったのかもしれない。
舐めてかかった故の報いか。
ロウハクの放った矢の一本が魔物を掠め、怒り状態になった相手の攻撃がテッドに向かい、避けられるものを何故かかばうスキルを発動させたラズロが割り込み、ギャアギャア言い合いをしている二人をアルドが宥めている間に、ビッキーが紋章を使ったのだが。
制御が利かなかったのかおかしな事態に集中が途切れたのか、意外と確率の高い失敗は、とんでもない形になって表れた。
テレポートだ。しかも海のど真ん中。
幸い泳げる距離に島影を発見し、何とか辿り着いたのがこの絶景の孤島。生えている植物や周囲を見る限り、群島のどこかだとは思うのだが。
なにぶん、小さな岩島はあっても、手がかりになりそうな見覚えのある島はない。
と言うかむしろ三百六十度オーシャンビュー。
「・・・・・この世界が丸いってよく解るよな・・・」
緩やかなカーブを描く水平線を見て、ポツンと言ったロウハクの台詞が痛い。
元々今日の午後からの掃除当番は、件のビッキーとロウハク、アルド、テッドの四人だった。それを、甲板に顔を出したラズロが乱入して。
「・・・ビッキーさん、ここしばらく失敗してなかったから、その反動かな・・・」
男四人、海に向かって横一列に並び途方に暮れる。
誰もいないから良いものの、何だこの光景。どこぞの青春熱血ものでもあるまいし。
「・・・・・・・・・とりあえず、このままいても仕方ないだろ。戻る方法を考えないと・・・そういやラズロ、手鏡は?」
深い溜息をついて気分を変えるように口を開いたテッドが、活路を開けるようなことを思い出し、残りの二人もハッと気付いて目を向けた。
「・・・・船にいる間は必要ないと思ってたからね、携帯はしてないんだよ・・・これからはその考えも改めるつもりだけど。」
少しの沈黙の後、言い辛そうなラズロに落ち度は低い。これは想定外だ。
ぎゅっと拳を握ったあと、ラズロもまた空気を変えるように、ぐりんと勢いをつけて首を回して三人を視界に入れる。
「まずは島を散策しよう。食べられるものの確保と、飲める水の有無を確認しないと」
数時間あれば外周を回れるくらいの島だ。果物でも群生していれば良いが、幸いにも回りは海で、魚の類で食は凌げるだろう。
問題は。
「そうだよなぁ、何より水だよなー・・・」
頭を抱えるような格好でロウハクがしみじみと言うそれ。
人は食べなくても生き延びられるが、飲まなければ死んでしまう。
「まぁテッドがいるから、最悪水はそこから引くとして」
「俺は井戸か。」
本気すぎる顔で指をさした先は、左手に流水を宿す、紋章の愛し子。
能力を知っているからこそのご指名だろうが、ありがたくも何ともない。しかもロウハクもアルドも、あ、そっかとでも言いそうな顔をしているから余計。
「・・・お前らな・・・」
げんなりとした表情を隠しもせずに、テッドは肩を落として嘆息した。
どうにかなりそうだとの判断を下された無人島生活は、気分が変わっただけで快適なものへと変化する。
南国だ。基本的にリゾート地なのだ。散策した結果、魔物という魔物も生息していないと解れば。
あれ? これ、休暇じゃね?
平均年齢二十歳未満。注釈、但し、見た目。
お気楽なキャンプのようになるのも致し方なかった。
「ぅおっし、こんなもんだろ」
「あと、これ」
島の奥からとってきた果物をロウハクが置き、同行していたアルドは狩った獣をラズロへと手渡した。ナイフで木の枝を削っていたラズロが受け取り、ニコリと笑みを作る。
「ありがとう。皮を剥いで血抜きをしよう」
笑顔の割には言っている内容が野蛮だが、女子がいるわけでもない気遣いとは無縁の男四人ともなれば、それも当たり前のように流された。
よく考えれば、サバイバルというか何と言うか、生き抜くことには長けているメンバーが揃ったものだ。
おう、と戻ってきた二人に簡単な言葉を投げたテッドも、取ってきた食材を確認してから、石を寄せ集めて作った簡易かまどを指差し、ロウハクを見上げる。
「火」
「・・・・・・・・・もうちょっと言い方ねぇのかよ」
「着火男」
「だったらまだ素直にチャッカマンって言われた方が良いわ!」
テッドに流水がついているように、ロウハクには火の紋章がついていた。テッドが水源と扱われたのと同じく、火種というわけである。
かまどの上には貝なんだかカニなんだか、鍋の代わりと思われる素材の解らない何かが乗っており、既に水を湛えられたその中には、野草らしきものが投入されていた。
「・・・テッド君、大丈夫なの? これ・・・」
さすがのアルドも心配そうに眉を寄せ、全体的によく解らない何かに困惑を隠せない。ロウハクなどはあからさまにうぇっと言う顔を見せている。
「何かあっても下るくらいだ。問題ない」
「いやそれが問題だろーがよ。」
いつもの無表情でケロリと言った台詞に入るツッコミは慣れたもので、テッドもずいぶん弓矢メンバーと打ち解けてきたなーなんてのんきに思っていると、振り返ったロウハクと目が合った。
「何とか言ってやってくれよ!このままだと得体の知れねーもん食わされんぜ!」
リーダー権限で! と息巻くけれど。
「うん、でも確かに毒草ではないから」
ニコリと見せる笑顔は、許してくれそうな雰囲気ではなく。
しかも。
「言っとくけどな、それ入れたのそいつだから。」
確実に回避すらも不可能だと言う事実を、テッドが示してくれた。
島に魔物は存在しなかったが、近くをもし船が通ったときのために、火は落とさないまま交代で見張りを立てた。けれど夜の航海をする船など、よほどの急ぎじゃない限りはないものだ。
「まぁ、きっといつかは僕らがいないのに気付いてくれるだろうし、気長に待とうよ」
結果的に、一体何をどうやったのか、なんだかよく解らないものはアルドが獲ってきた獣の肉を入れたスープへと変貌し、いたって普通に美味しくいただけた。
ならば今日は魚にでもしようかと、昨夜の残りの果物を朝食として囲んでいたときのラズロの一言。
「ほかでもないビッキーちゃんがいるしな。飛ばされたってのは解るよな」
「そうだよね・・・あとは、僕らに戻る方法がないって気付いてくれれば・・・」
海に放り出されてから、もう数時間で丸一日が経つ。幾らなんでもおかしいと気付くだろう。
ここしばらくは急ぎの作戦もないとは言え、戦況はいつ変わるか解らない。軍師や国王一族が、悠長に軍主行方不明のままにはしないはずだ。
ただ、この場所が解るかどうか。
「さーぁて。じゃあ張り切って釣ってくっかー! リーダーはどうする?」
ふと今は見えない天上の星をテッドが思い返していると、ストレッチをしながらロウハクが能天気な声を上げる。
流木と倒木とツタを使って、昨日のうちに小さないかだを作っておいた。
しみじみ逞しいメンバーが揃ったものである。
「僕は浅瀬でカニを探そうと思って」
「あ、じゃあ僕が行くよ。テッド君は」
「俺はマグロ以外の魚は認めない。」
ロウハクの誘いを笑顔で、でも譲らない強さできっぱり断ると、アルドが代わりに名乗り出た。くるんと首を回して隣のテッドを見るが、言葉途中でスパンと遮られる。
「・・・・えーっと、それはつまり、行かないってことで良いのかな・・・?」
少し困ったように眉尻を下げたアルドの補足に頷くだけで答えに変え、相変わらずのわがまま太郎だなお前、と言うロウハクの言葉に無視を決め込むことにした。
じゃあ頑張ってマグロ獲って来るね、いや無理だろ、みたいな会話をのんびり聞いていかだを見送ると、有言実行のラズロが、足を海に浸したままテッドに視線を向けている。
「なに」
意味を捉えあぐねて眉を寄せれば、僅かに首を傾けて髪を揺らす。
「もしかして、テッドも気付いた?」
言って指差す先は、上空。
太陽の光によって隠されている、星の並び。
「・・・ああ」
船乗りや旅人には必須といっていい星読みは、自分の位置を知るためのものだ。多少のズレは生じても、ある程度の方角や座標は割り出せる、はずなのだけれど。
「星の位置からすると、どうも海賊島やオベルの近海みたいなんだよね」
「そうだな」
「でも今、周りにそれらしい島影はないし、何度も通ったけど、海賊島やオベルから、この島を確認した記憶はない」
さて、ここはどこだろうね?
笑顔ではあるものの、確実に途方に暮れた感を見せるラズロは気付かなかったようだが、本来、群島付近では見えるはずではない星まで目視できた。
それは現在地云々ではなく、空間そのものが歪んでいる可能性。
ふぅと小さく息を吐き出して仕方なさそうに口を開く。
「・・・ここがどこであれ、いざとなったらの脱出方法として、霧の船は呼べる。」
「うん、確かに今なら導者も楽勝だとは思うけど、それは最後の手段として取っとこう。」
なんだかそれは色々な意味でダメな気がしたラズロが言えば、提案したテッド本人も同じく思っているらしく、解ってると神妙に頷いた。
間違いなく、本当に最終手段である。
「でもまぁ、普通の海と同じ生き物がいるんだ。どこかでは繋がってるんだろ」
閉ざされた空間ならば独自の進化を遂げるだろうが、果物も魚も獣も、普段見るものと同じものだった。ならば一応は開いていると言うことだ。
「そっか・・・うん、そうだね。ビッキーなんだし、そこまで悲観的になることもない、かな」
納得したような表情を見せたラズロは、考え込んだポーズから一転、軽い足取りで数歩進み、少し先の岩場へ向かう。上半身だけを捻って後方のテッドに手を振った。
「じゃあ僕、カニ獲って来るから!」
期待してて、と続けたのは笑顔で、吹っ切れたからのそれなのか、カニを獲れるからのそれなのか、テッドに判断は出来なかったが、とにかく割り増しで輝いていたような気がする。
生態系崩れるほど獲らなきゃ良いけど、とどこか諦めモードで思いつつ、自身も果物か獣かを獲るべく森へと入っていった。
「テッドくーん!」
昼近くになり、果物を抱えて浜辺近くの野営スペースへ戻ってみれば、釣り組も丁度戻り始めたところで、まだ遠めの海の上から大声で名前を叫ばれる。
左手の紋章を考え、今なら波のせいにして沈められるなと物騒なことを思いつつも、とりあえず殴る程度に済ませてやろうと考え直して、面倒臭そうに視線を向けた。
悪くない視力で見える、いかだの上のアルドは満面の笑顔。
大きく振った手と反対の手には、どうやら本当に釣ったらしいマグロ。
足元には他にも数匹の魚が、ピチピチと活きも良く跳ねているが。
「・・・・・・・・・・アレ、生きてんのか・・・・・?」
その背後に、うつ伏せでぐったりと倒れこみ、ピクリとも動かないロウハク。何があった。
いかだはそのまま打ち寄せる波の流れに乗って浜辺へ辿り着き、アルドがマグロを持ったまま、ひょいと身軽に飛び降りる。
「はい、お土産。釣れるもんなんだね」
ニコニコしながら差し出されたマグロは小型種のものだが、それだって六十センチは越える。重さだってあるだろう。礼を言うだけに留めて、受け取ることはやんわりと拒否してみた。
「わぁ、大物だね」
「ラズロさんこそ」
斜め後ろからかけられた声に、テッドはついにきたと思う。
ラズロの気配は解っていた。ただ、ちょっと漂ってくる雰囲気が何ともいえなくて、振り返りたくなかっただけだ。
普通に歩いてくるのとは違う、ずるずると確実に重い何かを引き摺っている擬音語を立てていれば。
けれど、前門の虎、後門の狼。
未だ動く気配のないロウハクと、おかしな空気を醸し出している、まだ見ぬラズロ。
確認できていない分の未知の部分に賭けて、テッドはゆっくりと振り返った。
「期待通り?」
そう言ってにこーっと笑うラズロに、選択を間違ったと心底思う。
獲ってきたのはカニだ、確かに。
規格外にも程があるサイズだけれども。
「・・・・・って言うか魔物じゃねぇか!」
ヌシガニとか古代ガニとか、あの辺。そりゃ大物だろ。
「うん、でもカニだよ。」
美味しいし。
食ったことあんのかというツッコミは、脱力感に襲われて出来なかった。
どうやら巨大蟹が食用可能の上にさほど珍しくないらしいと言うことは、アルドの反応で理解した。疲れてきたテッドが何も言わず、水の紋章で無理矢理ロウハクを復活させたあと、普通に会話に交ざったことでも判断できる。
もうロウハクがぶっ倒れていた理由なんかどうでも良い。
「さて、じゃあ景気よくいこっか!」
饅頭とカニがあれば他には要らないと、清々しいほど見事に言い切ったくらい、ラズロはその二つに目がない。狩りを宣言したときも良い笑顔だったが、今はそれに嬉々としたピンクの気配が見える気がする。
カニ料理を色々考えたものの、材料も道具もなければ調理種類はなく、結局マグロ以外の魚とカニの大部分は焼き、カニのごった煮鍋と刺身になった。
ちなみに、ラズロが運よく手持ちしていた交易品の塩とコショウと醤油は、もはや三種の神器と言って良い。
「いい匂いだね」
「まさにキャンプの醍醐味だよなー」
景気よくとは言うものの、破格のサイズにロウハクだけの火力では足りず、テッドが出張る羽目になり、ラズロが指示をしつつの火力調整は絶妙で、満を持して海堪能昼食フェスタが開始された。
「おっしゃ、いただきまっす!」
「いただきまーす」
「いただきます」
「・・・ます」
各々に食前の挨拶を口にして、ご馳走といっても過言ではない食事を手に取ったとき。
強い魔力の気配と空間の歪みを感じたテッドがいち早く反応し、直後にラズロ、それからほぼ同時にアルドとロウハクが振り返る。
地面から数十センチ離れた場所に光の粒子が集まっていた。
「きゃあっ」
つい最近感じたような、と思っていると、聞き覚えのある声と共に光の中心から人型が飛び出し、浜辺に転がりこむ。
白を基調としたローブの、黒髪の少女。この事態を作った張本人。
「い・いたた・・・あれ・・・?」
まだ両手をついたまま顔だけを上げ、目の前に並ぶラズロたち四人を見て固まった。それからおもむろに、右と左と後ろと上空へと順番に首を回して。
ぶわりと瞳に幕を張った。
「う・・・うわぁーん、皆さん、良かったー!」
零れはしないものの涙の事実にギョッとなった男四人が、おろおろしながら宥め、訳を聞く。
曰く。
ビッキーと、他の目撃者の証言により、飛ばされたことは即座に船内に知れ渡ったが、少し待っても戻ってこない様子から、意外と早い段階で戻れないのでは、と言うことに気付いたらしい。
軍主の私室机の上に瞬きの手鏡を発見し、疑問が確信に変わってから、ビッキーにとんでもないことが待っていたのだと。
「フレアさんに・・見つけて連れて帰ってくるまで、お・・・おやつ、抜きだって言われて・・・!」
酷いよね! って、潤んだ瞳のまま凄まれても。
え、それ、おやつと天秤にかけられたってことですよね。
軍主ですけど。
一応一軍メンバーですけど。
「・・・解ってたけど、僕、やっぱり成り行きの雇われ軍主だよね・・・」
「ラ、ラズロさん、でも僕はちゃんとラズロさんについて行くって決めて来たんですから!」
「そ・・そうだぜ、リーダー! 少なくとも俺たち兄弟は、あんたについたわけだし!」
うわぁ、何この妙なド修羅場。
嬉しそうにニコニコと、既に今日のおやつに思いを馳せているビッキーとは対照的過ぎた。
「こんなとこにいた」
数刻後、無事に生還を果たした四人の、内三人がやたらとぐったりしていたのは置いといて、夜の宴はそれなりの大騒ぎとなった。話題の中心はもちろん今回の出来事で、とっかえひっかえにねだられる、サバイバルライフを披露していたのだが。
「お前こそ、こんなとこ来て良いのか」
「同じ話だもの。別に僕じゃなくたってアルドもロウハクもいるし、何人かに話せば、そこから伝わるでしょ」
早々に宴会から離脱して甲板に上がってきていたテッドを、追いかける形でラズロが合流した。この船の連中は基本飲めればいい人間ばかりで、主賓がいようがいまいがお構いなしだ。
テッドもそれを解っているから、そこで切り上げ、ぽかりと浮かぶ月を見る。
「・・・王女様だったらしいぞ、一番早く気付いたの」
「ん? ・・・ああ、らしいね」
唐突にかけられたテッドの台詞に苦笑した。
確かにおやつと秤にかけられはしたけれど、それは、それが有効だと判断したからだ。事実、ビッキーには覿面だったようで、比較的早く戻ることが出来たのだから。
おかしいと気付いたのも瞬きの手鏡を見つけたのもフレアで、一番心配していたのもフレアだったと。
絶対に言わないでと口止めされたようだが、酔っ払いの王様は、そこも含めてペロリと吐いてくれた。
「解ってただろうが」
言葉の通りだけじゃないことくらい。
「・・・まぁね」
さっきよりもなお眉を下げた顔は何ともいい難い表情だ。なんとなく多分、という事情を聞いている身としては、この意味も察してしまって、テッドにこれ以上強い言い方は出来ない。
まぁ本人が経緯を知っているのならそれでいいと、もたれていた欄干から身体を起こし、部屋へ戻ろうとする。
「それにしても、フレアのフォローなんてどうしたの?」
引き止めるように、ラズロが顔だけを向けて声をかけた。
アルドと握手やら何やらのイザコザのためか、フレアとテッドが言い合いをしている姿を結構見かけるのを考えれば、不思議に思っても仕方ない。
この話のままで終わらせたくなくて、変えたかったと言うのもあるけれども。
一歩踏み出した足を止め、振り返ったテッドが小さく息を吐く。
「言っとくけどな」
何を今更とでも言いそうな顔で放たれた声は、僅かに呆れたような色が乗せられた。ただそれは、機嫌を損ねたとは違う音で。
そして続けられた言葉。
「俺だって、ただの成り行きの雇われと命を共にしてるわけじゃない」
その程度の価値で堪るかと。
行く末を共にするかもしれないのだから。
真昼の海と同じ色の瞳を開けるだけ開いたラズロを一瞥し、テッドは何も言わずに踵を返して、船内への扉をくぐって行った。
あとに残るのは、静かに奏でられる波のさざめきと、柔らかに降りそそぐ月の光。
まるでテッドが作り出す、穏やかな闇のような。
「・・・・・・・・今の、不意打ちすぎじゃない・・・?」
もー何それ、と呟いて欄干に懐く。
一緒の結末を見ても良いと話しをしたこともあったが、そのときの流れなのだとばかり思っていた。自身は拠り所としていても。
「・・・俄然やる気でた。」
どうやらテッドも、少しは留めていてくれているらしい。
緩む口元は誰もいない夜中の甲板ということで見逃してもらって、その分、漏れそうになる笑い声を必死に誤魔化した。
見上げる星空は例の孤島で確認出来ていた輝きよりも少ないけれど、幻や偽りではなく、そこに在るのだという確かな感覚がある。
ぎゅっと何度か両手で握り拳を作り、大きく長く息を吐いて。
ゆっくりと、伸びをするように身体全部で空を仰ぐ。
天上の狩人が、そんなラズロを後押しするように、力強く三ツ星を煌かせていた。
度々起こる忍者側の接続で、二回ほど内容すっ飛んだ。どうしてやろうかと思った罠。
相当やる気なくしたよね・・・!
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