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30のお題・)14支配の紋章-前編-

2010.09.10 (Fri) Category : 30のお題



支配の紋章がこうだったら面白いのに! 折角人を操れるなんて美味しい設定なんだから!
っていう、ダメな方向に頑張った結果。
長くなったから分けました。

神様は、乗り越えられる者にしか試練を与えないって、誰が言ったのかな。



まぁテッドは神様なんて信じてないだろうけど!




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「援軍?」
 王都からの書状を預かってきたという男からの伝言を持って、グレンシールが天幕をくぐった。読み上げられたそれは予想外のもので、居合わせたアレンと、報告を受けたテオが揃って訝しんだ顔を見せる。
「紋章師のチームを派遣したということですね」
「・・・確かに相手も騎士兵で、紋章兵のほうが有利だが」
 内容を簡単にまとめ、グレンシールは書状に押された王国の印を確認し、くるくると丸めて最高責任者であるテオへと手渡した。受け取りながら、なおも不可解そうに言葉を紡いだテオが言いたいことは、天幕内にいる直属の部下二人にも解る。
「チーム、で援軍、ですか」
 北の勢力が領地内に侵入の可能性があるとの報告を受け、その際の制圧の任につくためこの地に来てからしばらく。何度か小競り合いを繰り返しながらも、相手が引く様子は全くなく、近頃頻繁に領地越えをしてくるという不穏な気配に変わった。
 定期連絡でその旨をしたためれば、折り返し戻ってきた書状は、そういった内容のもので。
「王都からここまでは馬で七日ですから・・・この文は早馬で届けられたものなので、順当に行けば明々後日には合流でしょうか」
「援軍ならばもう少しかかりそうだが、もし本当にチームならば妥当だな」
「・・・ですが、紋章師など」
 赤月は代々の王がそうであるように、騎士の国だ。それ故か、紋章に関してはあまり見聞が広まっておらず、王都の紋章屋でさえ、一人に複数の紋章球を宿せるものはいない。
 王宮が抱える兵士には確かに紋章兵も数多くいるけれど、『チーム』程度の人数で動けるほど、レベルの高い術師がいたかどうか。
「そこは何とも言えんが、王が下した判断だ。まぁ到着すれば解るだろう」
 しっくり来ないながらも一先ずの話し合いを終え、何事もなく過ぎた数日後に到着したのは、たった四人、本当にチームと呼べる人数しかいない援軍、だった。


 四人の中の一人が馬から身軽に飛び降りて外套のフードを後に落とせば、その姿は少年といっても差し支えない年頃で、伝え聞いていた兵士にも動揺が現れる。
「司令官殿にお目通り願えますか」
 発した声も外見の印象と違えず少年のもの。同じように馬から降りる残りの三人は大人だが、後ろに控えるように並んだということは、少年のほうが位が高いということか。
 前後に何度か視線をずらして見るのに少年は苦笑し、
「・・・仰りたいことはもっともだとは思いますが・・・こちらに正式に任を頂いた書状をお持ちしています」
 言いながら、懐から王家の印がしっかりと押された書面を開いて見せた。
 間違いのないそれを確認して、ようやく兵士はそれまでのぶしつけな態度に気付き謝罪し、改まってこちらへどうぞと先導する。窺うように見ていた周りの兵士たちも、一応は納得した様子だったが、やはり気になるのは変わらないようで、ちらちらと視線を投げてきた。
 一番奥の大きな天幕まで案内されて、入口の兵士に中への繋ぎを取ってもらう間、少年はただじっと眉を寄せてその天幕を見つめていて、許可が下りたと声がかかると、大きく息を吐き出してから歩きだす。
 まるで、何かの覚悟を決めたように。
「失礼します」
 中と外を隔てるための布の前で一度断りを入れ、潜り抜けるように僅かに屈み込んで入室した。そしてゆっくりと顔を上げて、真正面に鎮座する司令官を見る。
「王都より派遣されて参りました。以後はそちらの指揮下に入り、任を全ういたします」
 合った視線を逸らすことなく、はっきり堂々と。
 いっそ無礼だと一蹴されるほど。
「・・・・・君は・・・」
 どちらの部下がこぼした言葉だったのかは解らない。驚きを隠せずに放たれたそれは、戸惑いと疑問を含み、明らかな混乱が感じられた。
 口元を僅かに綻ばせて、小さな笑みを乗せる。
「・・・お久しぶりです、テオ様」
「・・・・・・・・・・テッド君」


 戦況はあっという間に変わった。
 もちろん今までだって赤月軍の勝利だったのは間違いないのだが、紋章師の介入だけでこんなにも変わるのかと言うほど、ガラリと。
「まさか、こんなに変わるとは思いませんでした」
「最初はどうなるかと思いましたがね」
 紋章師、と言うよりもテッドだ。
 テッドを中心に組まれた陣形は、残りの三人がそれぞれ別の五行紋章を一つずつ宿し、テッドはニつ。その全ての紋章を一人で発動させる。
 額に紋章を宿せる人間自体限られてくるというのに、他人に宿る紋章にまで干渉できる術師など聞いたことがない。
 アレンもグレンシールも、マクドール邸に足を運んだ時、何度か言葉を交わしたこともあったのだけれど。
「そんな力があったなんて、知りませんでしたよ」
「私もだ」
 最初は目を疑った。どうしてここにいるのかと。
 赤月の者なら今やもう誰もが知っていることだが、帝国五大将軍マクドール家の嫡男が、解放軍と名乗る反乱軍を率いて、帝国に反旗を翻した。使用人の何人かを連れて。
 だから、その唯一の親友も一緒なのだと思っていたのだ。
 きっと何があっても、ティルが離しはしないだろうと思っていたから。
 それなのに。
(一体何だというのだ)
 ティルがどういう経緯で解放軍に身を置くことになったのか、テオは知らない。ロックランドへの任務があった日、グレッグミンスターで騒ぎがあったということは聞いているが、それがどういったことで、謀反への関係があったのかすらも。
 マクドールの屋敷に近衛兵が集まっているのを見たという者がいるから、関係がないとは言い切れないのに、どうしてもその内容が掴めなかった。
 もし、何かをしてしまって王都から出ることを余儀なくされた結果なのだとしたら。
 懇意にしている、自他共に認める親友を置いていくなど、後々降りかかるものを考えれば、間違いなくしない。
 にもかかわらず彼はここにいて、挙句、ならないと拒んだ帝国の軍に所属している。しかも一般兵ではなく、立場を持つ身分で。
「ご報告します!」
 慌てた様子で天幕に駆け込んできた兵士は、将軍とその補佐の二人を確認し、居住まいを正してからビシリと敬礼する。
「国境付近に、武装した大軍を確認、進行中です!」
 些か興奮気味にされたそれに、幕内にいた他の兵士もざわめいた。
「勝負に出てきましたかね」
「紋章にはずいぶん梃子摺ってましたから、数で対抗ってことでしょうか」
 見ていた地図から視線を上げることなくアレンが口元に笑みを作ってそう言えば、グレンシールは一番奥のテオに視線を合わせ、続けるように言葉を紡ぐ。
「さてな。どちらにせよ、そろそろ王都へ戻りたい。これで終わりにしたいものだ」
 どっしりと構えたまま真正面を見据え、何の問題も起きていないような口振りの内容は。
「御意」
「ですね」
 最後の決戦を示唆させた。
「紋章師殿に第一陣営後方への配置要請と、紋章の開放依頼を通達」
 ギシリと夜営用の簡易椅子を軋ませながら立ち上がり、周りに待つ兵士たち全員の顔をゆっくりと見渡して。
「迎え討て!」
 帝国五大将軍、テオ・マクドールが開戦を宣言した。


 兵士たちの咆哮と叫び、剣同士が激しくぶつかる甲高い金属音、矢が空を飛び交い大気を裂く。
 戦場だ。
 テッドはまず、テオの兵士全体に大地の守護神をかける。それから、相手陣営にまやかしの霧。その上で、テオ自身のいる本隊には鋼の肉体を上掛けした。
 通常、紋章兵団の一隊で一つの紋章魔法を使用する。対象範囲が広いもしくは複数のため、使用する魔力量の問題で、一兵団一使用が限界だからだ。
「・・・帝国に何が起きているのでしょうね」
 詳細は解らないまでも、おおよその話と兵団のシステムは知っている。それを考えれば、彼が今ここで、こうしているのはあまりにも不自然だった。類稀なる力があるとしても。
「元から帝国のためにと兵であったならまだしも、ご子息と大喧嘩までされて、入隊を拒否したとおっしゃっていましたよね?」
「ああ」
「そんな子が兵士になるなど・・・それに赤月は、良くも悪くも貴族社会です。いくら力があろうとも、身分を持たないただの子供が、一年程度で階級を与えられる訳がありません」
 テオを真ん中に両脇を固める形で、アレンとグレンシールが陣取っている。そこから少し後方に騎兵を挟んで、テッドら紋章師四人が配置されていた。
「なによりも、解放軍リーダーの懇意の者を帝国に迎えるなんて、正気とは思えませんよ」
「テオ様は根っからの帝国軍人だから別ですけどね」
 これだけの力だ。一人だって内部からの攻撃が可能だろう。そこに解放軍が攻めてきたら。
 けれど、そうはならないという確信があるからこそ、こうして王の書状すら持って前線へやってくる。
「あの子が自ら志願したとは考えにくいな」
「ならば協力を仰がれた」
「応じるとは思えんし、あの力は、息子でさえも知らなかっただろう。協力要請が来るとは思えん」
「・・・だったら」
 何故。
 思えばおかしなことばかりだ。例の、あの雨の日から。
「テオ様!」
 叫ばれて前方へと注意を向ければ、乱戦をかいくぐり、本隊であるこちらへ向かってくる十数頭の騎兵が確認できた。
 戦争と言うものは、大体がその司令官を討ち取れば決着がつく。この機に乗じて獲りに来たのだろう。やはり総力戦で来ていると見ていい。
「お下がりください、テオ様」
 言ってアレンがすらりと剣を抜くと、反対側のグレンシールも、今までの様子を微塵もさせない鋭い眼光で剣を抜く。
 第一陣営はテオのいる本隊とテッドたち紋章師、それに僅かな騎兵を残した他全てを白兵戦へ投じている。それでも単騎が猛者揃いの上に、個体数でもテオ達の方が有利だ。臆するものではない。
 数歩馬を後退させ、アレンとグレンシールを前に出しながら、テオも剣を手に取った。
 大地を蹴る馬の蹄の音が近くなり、向かってくる相手の顔が判別できるくらいまでの距離になる。
「帝国将軍、テオ・マクドール! 覚悟!!」
 先頭を走る騎兵がそう叫び、剣を煌めかせた。そのとき。
ゴォッ!
 強い熱風を伴う真っ赤な火柱が、空にそびえた。
「なっ・・・が・・・ッ・・・!」
 火柱は一瞬で相手騎兵十数基すべてを飲み込み、なおも燃え盛る。その圧倒的な熱量に、一般兵はおろか、アレンやグレンシール、テオですら動きを止めた。
 規模はそこまで大きくはないかもしれない。けれども、質がまるで違う。
 断末魔のような馬の嘶く声に、はっと我に返って手綱を捌く。弾かれたように馬が振り向き、そのまま後方へと駆けた。
「・・・・テッド君!」
 これは自然に発生するものではない。紋章魔法だ。それもこれだけのものならば、今残るテオの隊の者では発動不可能。繰り手は他に考えられなかった。
 ある程度まで近寄って馬から降り、小走りでテッドの傍へと向かうと、滅多に聞くことのない、焦りをにじませた怒鳴り声が届く。
「あんたら・・・ッ・・・これが目的か・・・!」
「我らはそれが如何に貴殿に通用するか、それを確認するために同行している」
「・・・御大層な名前つけやがって・・・誰が屈するか、こんなもん・・・!」
 術師たちの陣形はテッドを少し前の真ん中に配置し、その真後ろに一人、左右の斜め後ろに各一人と扇型になっている。詠唱や魔力を使うのはテッドだけで、残りの三人の役割は、紋章を発動させるための人員だと聞いていた。
 けれど、これは。
 なんだ。
「テッド君!」
「邪魔をしないで頂こうか、マクドール将軍。我らは王より、連中の殲滅とは別に勅令を受けている」
 明らかに様子がおかしい術師たちの陣に駆け寄ろうとした時、端にいた1人から制止がかかる。しかも。
「・・・勅令・・・!?」
 そんなものは聞いてなどいない。
 なにがだ。
 この子に関することがか。
「お解りになったのなら、お下がりください。今は実験の最中だ」
「実験、だと」
 人を。子供を使ってか。
「ええ、そうです」
「・・・ッ・・・!」
―――帝国に何が起きているのでしょうね
 数刻前に、腹心の部下が呟いた一言が脳裏を過った。





 

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