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1111

2010.11.19 (Fri) Category : 小話


11月11日はポッキー&プリッツの日だそうです。
過ぎてんじゃんとか気にしないよ!
今更なんて台詞は、私の前では通用しないんだぜ!(本当にな)

まぁでも、ポッキーとプリッツを幻水の世界にっつーのは無理があるので。
どうしてもパラレルになるよね。
しかも定番のになるよね。
学 生 パ ラ レ ル。

うん、私は手を出しちゃいけなかった気がする!
だって設定は一切生かされていない! ぼはは!
どうしたら良いのか解らなくなったのに、折角パラレルなんだからという勿体無い精神が働き、収拾つかなくなって長いから注意してね!(わー)
一応仲良し注意報で!




拍手[6回]







「ほい、飛車取りでチェックメイト」
「え。ちょ、待った! あれええええぇぇええ!?」
 放課後の、人気の少なくなった教室で窓際一番後ろの席を陣取り、たびたび行われるボードゲームに興じて十数分。
 にんまりと口元に笑みを作ったテッドが、リウに勝利宣言をした。
「・・・いつも思うけど、何でこれで普通にゲームができるのか不思議だわ」
 コン、と置かれた駒はテッドの持ち駒、チェスのポーンで、代わりに手のひらに入れたのはリウの持ち駒である、将棋の飛車。チェックメイトと言われた通り、リウの自陣のトップはチェスのキングだ。
 すぐ隣で見ていたマリカが、難しい顔でそう言うのも解る。
「そっか? 同じだと思うけどな」
 獲ったばかりの飛車を指で遊びながら言うテッドが、待ったと言って腕を組んで考え込んだリウを横目で見やり、顔を上げてニッと笑う。
 リウとマリカが見つめる先のボードは縦横八マスのチェス盤だが、乗っている駒は将棋の金や角、チェスのビショップやナイトが並び、どちらの自陣にもチェスと将棋、両方の駒が混じっている。ちなみにテッド自陣のトップは将棋の玉だ。
「っだー! 無理! ダメ! 俺の負け!」
 言ってイスに盛大にもたれたリウは、お手上げと体現するように、両手を上げて頭を抱えた。
「よっし、俺の勝ち越しだな。明日の昼のジュースよろしくー!」
「あー、くそー、勝ったと思ったのにー」
 途中までは確かにリウが優勢だった。駒を進めて、あれ、と思った時にはもう遅く、誘い込まれたのだと確信し、回避しようとしたところで、いつの間にか別ルートを進めていたテッドの駒に、リウのキングが追い込まれていたと言うわけだ。
「しかも、と金じゃないデスカー!」
 もー何それー、と机に突っ伏したリウに、テッドがけらけら笑う。
「ばぁっか、成り上がりナメんなよ。雑草根性だっつーの」
 隣の机に置いてあった箱に将棋駒を片付けながら言えば、もう片方の箱を手にとって、リウがチェス駒を片付け始めた。
 普段ならもう一戦くらいは行うのだが、廊下の奥の方から聞こえた足音が、委員会が終わったのだと教えてくれたから終了にした。迎えだ。
「悪い、待たせた! 帰ろうぜ!」
 教室の後ろの棚の端っこにボードと駒を揃えて片付けたところで、ガラーッと勢いよく扉を開けて駆け込んできたのは、リウとマリカの幼馴染。
「お疲れッスー」
「大して待ってないわよ、大丈夫」
「じゃあ俺も帰っかな」
 体育委員長であるシグは、委員会役員集会に出席しなくてはならず、たびたび開かれるそれに放課後を割かれる。ご近所の幼馴染二人は、それが終わるのを待っていたと言うわけだ。
 リウやマリカにならい、平べったいカバンを手に取ったテッドも一緒に教室を出、昇降口まで他愛無い会話をしながら歩き、門の手前でじゃあまた、と切り上げた。
「じゃあな、テッド!」
「また明日ねー」
「次は勝ちますカラー!」
 それぞれに挨拶を投げる友人たちに笑って手を振り、バイトへ直行するために仲良し三人組とは反対の道へ向かう。
「あ、そうだ。テッド!」
 思い出したように自分を呼ぶ、マリカの声に振り返ったテッドは、すでに目の前にまで迫ってきていたものに、反射的に手を出した。
「ぉわ・・・ッ・・・!?」
 バサバサと軽い音を立てて落ちてきたそれ。何事かと見返してみれば。
「あげるわ!」
 ほら、今日はこれの日だから、とマリカが手に残った赤いパッケージのそれを振って見せた。


「遅いよ、テッド」
「俺は元から遅番だ」
 あれから弓道部顧問生物学教師のアルドに、部活にも出てねーと叫ばれながら学校を後にしたテッドは、十八時からのバイトに入った。
 入った早々、十七時入りのラズロに頬を膨らまされたが、別に遅刻はしていない。
「っていうかお前、いい加減バイト辞めろよ」
 テッドの一歳上のラズロは、幼少期の一時こそ共に育ったものの、再会したときにはどういう経緯を経てか、世界各国に支社を持つ御家の跡取りという、とんでもない肩書きを持っていた。
 本人曰く、徳光さんも吃驚のお涙頂戴物語があったんだよ、だそうだが、多分きっと、そこまでじゃない。
 とにかくバイトとは無縁の世界の人間なはずなのだが。
「うーん・・・でも僕、根が庶民だからね。生まれ育った価値観は変わらないよ」
「小銭大好きだもんな」
「うん、そう。通帳にコツコツ貯まっていく感じが堪らないよね」
 いまいちそうは見られないため、いたって普通の一般人と変わりない。
「あ、テッドお疲れー」
 カウンターに戻ってきたフッチがテッドの姿を認め声をかける。どうやら遅番はテッドだけで、二人は早番だったようだ。
「お疲れ。お前、俺年上なんだって何回言えば解んだ」
「でもテッドだし」
 フッチはルックと同じく一学年下の一年生で、間違いなくテッドの後輩なのだが、気安さゆえか過去のアレコレゆえか、普段敬語を使ってくることはない。
 年上は敬えと言ったところで返ってくる言葉はこうで、仕事上、客の手前、お願いしますや解りましたを使うことはあっても、それ以外では一切ない。ルックに至ってはあんた呼ばわりで、このこまっしゃくれがあああと何度やり合ったことか。
 多分、その反応も、敬語にはならない原因だとは思っているのだけれども。
 全く最近の若いもんは、とお決まりの文句を口にして空ケースを片付けていると、すぐ隣で似たような作業をしているラズロが、くるりと首を回してテッドを見やる。
「でもそれ言ったら、テッドだって僕に敬語使ってくれないよね」
「お前は適用外」
「え、何、僕テッドの特別?」
「俺にとって特別とかじゃなくて、それ以前にお前の存在そのものが特殊」
「それってレアじゃない。僕、希少価値ってことだね」
「お前のポジティブさは本当希少だよな。」
 慣れた漫才のようなやり取りをしつつも、二人ともに手元は完璧で、合間に入るお客の相手やらレジやらも笑顔でこなしていくから、フッチはおろか他の誰も注意はしない。
 むしろ名物店員になっている節もあって、その無駄な器用さに感服すらする。
「いた! テッド!」
 商品陳列に勤しんでいると、やや大きな声で後方から名前を呼ばれた。来るだろうなとは思っていたし、理由も解っていたけれど。
「・・・シーナ、お前、声でかいよ」
 目立つことを良しとしないテッドが、目立つ風貌のシーナに通る声で名前を呼ばれたら、たまったものではない。
「悪い・・・! いや、うん、本当ごめん!」
 端の方の棚列にいたおかげで、注目を浴びることがなかったのは幸いだ。眉尻を下げて、片手で謝罪の意志を伝える動作に、テッドがふぅと小さく息を吐く。
「俺が帰るまで絶対寝んなよ」
「解ってる、任せろ! ・・・いやー、家帰ったら鍵ないしテッドもいないし、こりゃバイト先行くしかねぇって戻って来てみたら、レジにお前の姿ないから超焦った・・・ラズロ会長に思わずテッドはって聞いちゃったよ」
 元な、元会長。
 言いながらテッドは、ポケットからキーホルダーも何もついていない、ただのシンプルなシルバーの鍵を取り出し、シーナの手の中に落とした。
 テッドとシーナはルームシェアと言う形で二人暮らしをしている。
 それぞれに鍵を持ち家を出るが、俺ん家金持ちだから常にお手伝いさんがいて、自分で鍵を開け閉めする習慣がないんだよね、が言い分のシーナは、結構頻繁に鍵を忘れ、こうしてテッドを探しに来ることもしょっちゅうだ。それ以外は色々分担して、それなりに上手くやっているらしく、事実既に一年半近く経っている。
 話を持ちかけたのはシーナのほうで、テッドから出したまず最初の承諾の条件が、絶対に女を家に連れ込まない、だったと言うのは逸話である。
「今日の飯何?」
「カルボナーラのソース作ってある。パスタは棚ん中な。あと冷蔵庫にサラダと昨日の残りのスープ」
「おー、良いね。そういやNHKの集金の不在連絡入ってた」
「可能な限り逃げ回れ。」
「了解。」
 やたらと所帯じみた会話だが、色気も何もあったもんじゃない。
 それからシーナは本レジで週刊誌を買って、テッドたちのいるレンタルレジの方に手を振って帰っていった。


「じゃあお先に上がるね」
「おう、お疲れー」
「残り一時間が長いんだよなー、がんばれよ、テッド!」
「うっさい、早く帰れお子様」
 早番だったラズロとフッチは二十一時上がりで、深夜番に引継を終えたあと、レジに残る二十二時上がりのテッドに声をかけて帰っていく。麗しい友情だ。多分。
 暇な時間ほど遅く過ぎるものはないが、レンタルレジは購買レジと違って返却もあるため、暇すぎると言うことはない。適度な流れがあるから、時間も適度に流れる。
「テッド」
 残り十五分を切って、そろそろレジ上げでもするかなと思ったとき、よく聞き知った声がした。
「塾帰りか? お疲れ、ティル」
「うん、テッドもお疲れ様」
 学校が終わってから進学塾へ通っているティルは、こうしてたびたび顔を出す。終了時間は二十一時三十分で、丁度帰り道の途中だからと言っていた。
 そして。
「待ってるから、一緒に帰ろう」
 こういう場合は、基本的にこうなる。
 高校生の就業規則は、法律で深夜二十二時以降の労働は禁止されている。よってテッドのバイト終了時間は、早番でも遅番でも最長二十二時までだ。
 さくっとレジ上げを済ませて引継し、お疲れ様ですと挨拶してから、バックヤードに引っ込みカバンを掴んで店内へ戻る。それなりに広い店内で人一人を探すのは意外と大変なのだが、相手がティルの場合はそうでもなかった。
「お前の勤勉っぷりを、リオウとかシロウに分けてやったらどうだ」
「いきなり何の話だろう。」
 学校で勉強して、塾で勉強して、その上本屋では参考書や問題集のコーナーにいるって、もはやそれは趣味とか特技の部類に入るんじゃないだろうか。
 別段買い物があるわけではないということで、そのまま店の入口まで歩く。すれ違うスタッフに、お先ですとかお疲れ様ですとか簡単な挨拶を交わし、出た先の外はもう冬の空気になっていた。
「うっわ。もうコート出さなきゃだなー」
「そうだな、さすがに寒い」
 吐く息はまだ白くならないけれど、マフラー程度の防寒着はもう必要だろう。テッドもティルも、既に制服の中にはセーターなりベストなりパーカーなりを着込んでいる。
「あ。そうだ」
 今日のグレミオのご飯は何だったとか、シグやシーナが出席した委員会役員集会での面白話とか(ちなみにシーナは、女の子が多そうだからと言う理由で保険委員だ)、いつものようにどうでもいい話に笑いながら歩いていたら、ふと思い出したように、テッドが何も入ってないんじゃないかと言うくらいにぺたんこのカバンに手を突っ込んだ。
「マリカにお菓子もらったんだ。食うか?」
「え」
「いや。手作りじゃないから大丈夫。」
 何とも失礼な会話だが、本人がいないので赦してもらおう。
「ほら、今日十一月十一日だろ。ポッキーアンドプリッツの日」
「ああ」
 数字で表せば11月11日。
 棒が四本並ぶと言うことで、ここ数年大々的に、お菓子会社の商品販売促進企画として記念日とテレビコマーシャルでもやっている。
 あのとき投げてきたのはそのお裾分けで、どうやらマリカも例に漏れず策略に嵌った一人だったようだ。
 ぺリぺリとミシン目を切り取って箱を開ける。中の小袋を一つ破って数本をまとめて銜えた。
「お、サラダ味」
 プリッツはやっぱサラダ味だよなとモゴモゴさせてテッドが言い、そのままひょいと手に持った小袋をティルに差し出してくる。
「そんなのばっかり食べてるから貧弱なんだよ」
「なんでお前は俺を貧弱キャラにしたがるんだ」
 ティルは塾があるときはグレミオが昼の弁当とはまた別に、おにぎりやサンドイッチなど、食べやすいものを持たせるから、休憩時間の合間にそれを夕食として摂っていた。対してテッドは、学校終了からバイトまでの間にパンかお菓子を齧りながら移動する程度で、シーナの夕食と共に作った自分の分は、翌朝食に回されるため、まともな食事はほとんど摂らない。
 家に帰れば多少の用事を済ませて寝るだけ、と言う時間配分であれば、逆に寝る直前の食事は身体に悪いと言う主張も解るけれども。
「だから、遠慮しないでうちに住めばいいのにって言ってる」
 シーナと一緒に暮らす前は、うちにいたんだから。
「遠慮してねぇよ。テオ様にもお前にも、マクドールの人たちには充分世話になってる」
「何もいらないって出て行くのは遠慮じゃないのか」
「学費出してもらってるだろ」
「それは・・・そうだけど・・・」
 元々テッドは誰かの世話になることを極端に嫌う。
 中学教育までは義務だからとテオ自らの説得に近い話し合いの上、一年生の冬、雪が降りそうな頃にお世話になります、とマクドール家にやってきた。そして高校受験の際に一悶着あって。
 結局、学費はそのままテオが払い、衣食住は自分でと言う話に落ち着いた。
 ティルは未だそれに納得していない。
「で? 食うの? 食わねーの?」
 口ごもって空いた間に、手に持ったプリッツの袋を上下に振って、今までの話はスッパリ切り上げ、まるでなかったかのように言うから。
「・・・・・・・・食べる」
 何か、少し。
「ん? ・・・・・・お・・・!?」
 凶暴な気分になった。
「やっぱり、こんなのしか食べてないから栄養偏るんだよ」
「・・・お前な」
 そう言うテッドが咥える数本のプリッツは、途中から不揃いに折られている。なくなった途中から先は、ティルの口の中で、パキパキと音を立てていた。
 つまりティルは、逆の端からテッドのプリッツに食いついたということだ。
 短くなったプリッツを、そのまま手を使わずにもごもごと口の中に収めたテッドは、僅かに眉を寄せた表情のまま、もう一度袋を差し出す。
「そういう食い方すんな。俺がグレミオさんに怒られる」
 むしろ微笑ましそうに見られる気がするけど、とは言葉にしないで見返して、小さく溜息をついた。
「・・・いい。いらない」
(解らないんだろうな)
 きっと。
 何が気に入らないのか、どうして不満なのか。
 その原因の感情に。
「ちゃんと食事してないから、脳にも栄養が回らないんだろうか」
「それは喧嘩売ってんのかお前。」
 実際は言うほどではないどころか、ティルやジョウイには及ばないものの、テッドの成績は上の下から中の上。勤勉とは程遠い生活をしている割に、外見や振る舞いを裏切る結果だ。
 何でこう俺の周りはアクの強い奴が多いかね、とぶちぶち言いながら、また袋から数本のプリッツを取り出して咥えたから、ティルもまた、あえて当て付けるように食いついてやった。







別にデキてない。(笑)


実は最後だけで事足りたなんてまさかそんな!(わー)



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