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30のお題・)9雨

2010.11.10 (Wed) Category : 30のお題


三都が終わってからダラけ気味です。
原稿が。
何か私のメモ、こないだの新刊のテオ様との一騎打ちの後から、いきなりシークの谷に飛んでんですよね。
ネクロードとか過去の洞窟とか、あの辺すぱーんとない。(笑)
や、確かに紋章の村襲撃後捏造の Crimson しか考えた記憶がないんだけど!(ワーオ)
本当凄く自分に正直!


とりあえず更新。
明日から出張あるから、これが限界な気がする・・・!
しかしアレだ、やっぱ更新速度落として、も少しちゃんと練ることにしよう。
そして例によってお題は掠るくらいしか関係ないよ!



拍手[7回]




 何となくそんな気がしたと言うか。
 けれど、いやまさかという思いもあったから。
 大丈夫だろうと、そのまま後にしたのだけれど。
「予想的中なのか何なのか、心中複雑で解んねーな」
 とりあえず色々想像した全部があったことは間違いなさそうだ。
「お加減如何ですか、ティルさん」
「・・・・・・・すこぶる悪いです」
 テッドが両手を腰に当てて見下ろす先で、ずいぶんと布団をかぶせられ、顔だけをはみ出させているティルが、気まずそうに眉を寄せた。


 昨日のことだ。
 朝から気持ちの良い快晴に恵まれ、マクドール家の夕食という期待を背負い、近くの川へティルとテッドは釣りに出かけた。
 数日前の雨の名残で、僅かに増水したままの川は魚も多く、昼を過ぎた頃には家人への振り分けは当然として、ご近所にお裾分け出来るくらいの数を釣り上げ、ほくほく気分で帰路についたのだ。
 が。
 唐突に崩れた天候は数分で上空を真っ黒に染め上げ、バラバラと音を立てて雨を落とした。
 雨宿りが出来るような建物や大きな木のない、舗装された街道まで出てきていた二人は、結局グレッグミンスターまで走って帰り、濡れたついでとそのまま一気にマクドール邸までを駆け抜ける。
 辿り着いた先の屋敷は、常のグレミオは買い物にでも出ているのか不在で、とりあえず荷物を玄関先に置き、勝手知ったるマクドール家の棚からタオルを取り出しティルに渡したところで、テッドがわぁと叫んだ。
 叫んだ声とは対照的に、洗濯物、と小さく呟いたテッドがぐるりと首を回し。
 悪いティル、俺帰る、お前は風呂に入るか暖炉に火入れるかして、身体温めて風邪引かないようにしろよ、と言い残して、未だ衰えない勢いで降る雨の中に走り込んで行ったのだ。
 そして翌日の今日。
 うっかり握り締めたまま走って帰ったタオルを返しに、テッドがマクドール邸へ来てみると。
「坊ちゃん、風邪を引いてしまって」
 寝込んでいるんです、ときた。


「・・・いや、うん、俺もな、考えなかったわけじゃないんだ。だから身体温めろよって言ったわけだし」
 けれどきっとすぐにグレミオは戻ってくるだろうと思い、そうすれば彼のことだから、テッドが言った全部を実行して、絶対に風邪をひかせることなんてないと思った。
 それが実際にはグレミオは数刻経ってからの帰宅で、大丈夫だろうと自己判断したティルは服を着替え、髪をタオルドライしただけに留まり、冷えていた身体は風邪菌の絶好の獲物となったと言うことだ。
「あー、もう。こんなだったら、お前風呂に押し込めてから帰るんだった」
 長い溜息を漏らし、明らかに失敗したような声を発する。どうせ洗濯物はもう一回洗濯しなくちゃダメだと、頭の中で理解をしていたのだから。
「・・・ごめん」
「いや、どっちかっつーと俺の台詞だろ。放ってったんだし」
 悪かったな、と呆れた顔を緩めて苦笑した。
 ずるずると机からイスを引き摺ってきて、ベッド脇に落ち着けたテッドは、額に乗っているタオルへと指を伸ばす。まだ冷たさを保っているそれを確認し、口を開いた。
「でも、そこまで辛そうじゃないな。呼吸も普通だし、咳も喉も平気そうだ」
「熱もそこまで高くないんだ。身体がだるくて、寒いような暑いような、変な感じはするけど」
「ああ。じゃあひき始めだな」
 こんもり盛られた布団は、しっかりとティルの体温を保ってくれるだろう。ひき始めは身体を温めて十分な休息を摂るに限る。
 グレミオが持ち込んだと思われる布団の中には、ずいぶんと立派な見覚えのあるものもあって、それテオ様が使ってるものなんじゃ、と思いつつも、今は不在だから良いのかなと、グレミオの中での重要度具合は置いておくことにした。
 多分、在住でも同じだったとは思うのだけれども。
「・・・そしたらグレミオさん、大変だったんじゃないのか」
 ふと思いついた件の青年のことだ。
 怪我やら傷やらは、棍術の稽古や士官学校での手合わせで、昔に比べて大分許容できるようにはなったが、病気となれば話は変わる。グレミオが何より優先と公言するティルが、体調不良を訴えたときどうしたのだろう。
「ああ・・・うん・・・私がお隣の奥様と買い物先で話しこんでしまったばっかりに・・・! って半狂乱になった・・・」
「・・・・・・・・・・・そっか」
 半狂乱。
 目に見える気がする。
 って言うか奥様と井戸端会議。
「テッドは大丈夫だったのか?」
 心の中でツッコミを入れまくっていたら、ティルがさっきとは違った意味合いを含んだ眉寄せ顔を向けてきた。どう見ても自分の具合の方が悪いのに、相手を心配する姿勢に口元に笑みが浮かぶ。
「俺? 俺は危ないと思ったから、風呂入って薬湯飲んで即行寝た」
 そのままテッドはニカッと笑い、何でもないと言うように顔の前でひょいと手を動かした。支障のないそれに言葉の裏は見えず、ティルは明らかにホッとする。
「・・・そうか、なら良かった」
「良くないのはお前な」
 ああいう場面は慣れている、と言う台詞は飲み込んで正解だ。
 屋根のあるところでの生活をしていなかったときは、雨に打たれるなど珍しくもなく、多少の熱や体調不良は無理でも押し通す。それで何とかなってきたのだから、大概丈夫に出来ているもんだとテッドは思う。
「熱、どのくらいだって?」
 高くはないらしいが、言葉の通りだと寒気も感じているようで、指の甲で頬に触れてみれば確かに熱い。上がって来てるのかもしれないと眉を顰めたら、ティルがふぅと小さく息を吐いた。
「テッドの手、冷たいな」
「お前の体温の方が高いからだよ。やっぱり熱上がって来てるのかもな」
 額のタオルを再度確かめてみれば僅かに温くなっており、内側を表に出すように折り目を変える。丁度そのとき、コンコンコンとドアをノックする音が響いた。
「入りますよ、坊ちゃん、テッド君」
 ガチャリと開けたのはグレミオで、色々乗った盆を両手で持っている。水の入ったコップもあるから、薬もあるのだろう。
「何か物を入れてからのほうが良いですから、果物を持ってきました。りんごとバナナとみかんと、どれが良いですか?」
 やはりあるらしい薬の前に、胃に入れろと言うことだ。
 苦いものはいやだと堂々と言うティルだが、さすがにおとなしく薬は飲んでいるようで、じっと見つめて悩んだ挙句、りんごにする、と決定した。
 グレミオが果物ナイフでくるくると皮を剥き、出来た形はなんと言うかお約束のようにウサギ。
 思わず吹いたテッドと失笑のティルを、グレミオがニコニコと笑顔でいなし、何とか飲み込んだと言った様子で薬を服用したティルは、また布団の底へ潜り込む。
「じゃあ俺そろそろ帰るな。抜け出したりしないでゆっくり寝てろよ」
 グレミオが布団を直すのを見届けて、テッドはぐっと伸びをすると腰を上げた。すると、え、と少し慌てたようなティルの声が耳に届く。
「もう帰るのか? まだ早いのに」
「俺いても仕方ないだろ。お前も寝ないし」
「いや、でも」
 折角来たのに、と食い下がるから、お前が風邪なんかひかなきゃ遊べたのになーと返せば、う、と言って黙り込む。どうやらしっかりと自分に非があるのを認めているらしい。
 それにテッドが苦笑して、一応の建前を述べた。
「ま、風邪うつってもなんだしな」
「そのときは僕が看病するけど」
「遠慮します」
 あははと冗談のような冗談じゃないような軽いやり取りをして、じゃあまたなと手を振る。グレミオと共に部屋を出るとき、さっきと同じく少し焦ったような声色でテッド、と呼び止められて。
「ごめん、ありがとう。また明日!」
 振り返ればどこか必死な顔をしたティルが、身動きが出来ないほどに積まれたモコモコの布団から、見えている顔だけをこちらへ向けていた。
 さすがに明日は治らないだろ、と言いそうになって、ああと気付く。
「おう、明日な」
 これは多分、明日も来てくれと、そういうことだ。
 だから笑ってそういえば、考えはあたりだったようで、みるみる嬉しそうな顔になる。逆にテッドの方が照れるほど。
「ほら坊ちゃん、しっかり休んでしっかり治さないと、テッド君とも遊べませんよ!」
「うん、解ってる」
 言ったティルはゴソゴソと佇まいを直し、天井と向き合って瞼を下ろした。このまま大人しく寝ていれば、明日には大分回復するはずだ。
 玄関まで見送りに出てくれたグレミオに昨日の説明をすれば、時間が経って落ち着いたとは言え、それでもかなり不在という自責の念に駆られた発言をしており、テッドも同じく責任があったと謝ると、互いに見合わせて苦笑した。
「まぁでも、そんな酷くもならなさそうですし」
「そうですね。ああそうだ、今更になってしまいましたけど、たくさんのお魚、ごちそうさまでした」
 翌日の朝になって身体の不調に陥ったティルは、夕食の魚はしっかり食べたらしい。大漁だったそれは、全て捌いて調味料に漬けたり、開いて干したりしたそうだ。
 そんな加工された魚のおすそ分けをもらい、またお願いしますねとちゃっかり言われ、テッドは笑ってマクドール家を後にした。


 後日。
「・・・何でこうなるかな」
「するって言ってたじゃねぇか」
 何度もティルの部屋に出入りしたせいか、思いっきりもらい風邪をしたらしく、回復したティルがお返しのように看病をする姿があった。
 やや憮然とした表情でギュッとタオルを絞るティルは、テッドの言葉に一度溜息をついてから口を開く。
「言ったけど、でもそれは」
 テッドのことであって、グレミオじゃないよ。
 ぺん、と少し音を立てておかれたタオルの下の額は、確かにグレミオのものだ。
 もらい風邪をティル本人よりも重くこじらせてしまった結果、ベッドから起き上がる事さえできなくなり、いまいち家事が不得意な家人に変わって、テッドに看病の応援を頼む事態にまでなった。
「僕はテッドの看病がしたかったんだけど」
 全く風邪の素振りも見せないテッドの、お前に看病が出来るとは思えねぇよ、という台詞は黙殺し、いつか、と。
 また雨の日を期待したのは言うまでもない。



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