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30のお題・)14支配の紋章-後編-

2010.09.13 (Mon) Category : 30のお題



はい、続きでーす。
若干グロイというか痛いというか、まぁそんな表現があるかもしれませんが、所詮私なので、所詮です。
詠唱練れなすぎてガッカリした。ブハー。


妙な言葉は、追々中身に説明盛り込めればいいなと言う希望。

前中後にすればよかった。(今更)



拍手[5回]







「其に宿りし五行の雷(いかづち)、我が声に応え、我が身を巡り、我が力と成せ。光を呼び音を集め、天より下す熱とならん」
 唐突に、朗々と流れるような詠唱が紡がれる。戦場には不釣り合いの子供の声は、間違いなくテッドの口から零れたもので、一言一言を発するごとに魔力も高まっていく。
 いまだ衰えない業火の周りに、パチリと別の火花が爆ぜた。
(まさか)
 気付いたテオが勢いこんでテッドを見やる。
 恐らくこれは、合成魔法だ。火と、雷の。すでに魔法として成り立っているものの上に重ね、合成されるのかは解らないが、行っていることは確実だ。
「テッドく・・・」
 もう良いと、そこまでする必要はないと、何の実験を課せられているのか、例え勅令でもやめさせるつもりで名を呼び、その姿を視界に入れる。
 そこでようやく、テオは真正面からテッドを見た。
 前へと伸ばされた右手は黒い影を帯び、対して左手は喉元を抑え付ける。そして何よりも、驚愕に開かれた琥珀の瞳と蒼白な顔色、戦慄くように震える唇に、寄せられた眉。
 まるでついさっきの詠唱が、自分で信じられないとでも言うように。
「・・・・・・・め、ろ」
 どういうことなのかと、テオが動きを止めると、ようやくといった様子で、テッドが小さく言葉を発した。
「やめ・・・ろ・・・やめさせろ・・・! こ、んなの・・・ッ・・・!」
 動くのもやっとのようなテッドが後ろの術師たちを振り返り、掠れた声で、けれど瞳だけは強い光を宿して叫ぶ。黒い影を纏わせる右手だけは、依然そのままで。
 バチバチと、最初よりも遥かに大きな音を立てて放電が始まり、目に見えるまでに成長したそれは、炎の周りにとぐろを巻く。
 いつしか白兵戦も止まり、どちらの兵士もその光景を食い入るように見ていた。
 そこに。
「放て」
 術師の冷徹な声が響く。
「待っ・・・!」
 前方に伸びた右手がついと動き天を指し、左手が追うように右手に縋った。動きを封じるかのように。だがそれは何の抑止力もかけられず、いとも簡単に右手が振り下ろされる。
 同時に、眩しいほどの光を放つ雷が業火の直下に落とされ、大爆発を起こした。
 すでに絶命寸前だった相手騎兵は、一気に増えた熱量で馬もろとも一瞬にして炭になる。ばさりと倒れたそれらは、元が何であったのか解らない状態で、身に着けていた甲冑や馬の鞍さえも、原形を留めてはいなかった。
 弄るような風が粉々になった、彼らの一部であったそれを運ぶ。そして独特のにおいも。
 人間が焼ける、あの。
「う・・・おぇ・・・ッ・・・!」
 一番近いところにいた、本隊の兵士一人が堪え切れずに吐く。戦場とは思えないくらいに、水を打ったかのような静けさだった。
「仕上がりは上々だな」
「では次は、戦場の連中か」
 空気を全く読まず言い放ったのは、テッドの真後ろに位置していた術師と、右後ろの術師だ。二人はさっき、もう一人の仲間が言った通り、今の出来事を実験としかとらえていない。
「お主ら・・・!」
 ガチャリと甲冑を鳴らしテオが表情を歪ませた。
 何をしている。
 何をさせている。
 帝国は、何を。
「・・・ッ誰が・・・好き勝手、させるか・・・!」
「・・・テッド君!」
 なおも影を引きずったままの右手を、左手で押さえつけるような姿勢のテッドが振り返る。相変わらず無理に動いている様子で、足元も危なっかしいが、眼光の鋭さは増していた。
 そもそも、どうして傷も負っていないテッドが、こうして身体に支障をきたしているのか。
 魔力を使い果たして倒れる事例はあっても、ここ数日を思い返してみれば、まだ余力があってしかるべきだ。なのに。
 術師の一人がテッドの方へと両手を突き出し何かの詠唱を始めると、右手の黒い影がぶわりと増した。だがそれだけだと解ると、慌てたようにもう一人も同じく両手を突き出し詠唱する。影はますます広がりを見せ、テッドの華奢な身体すべてを覆った。
 それでも左手の指先が白く変色するほど強く右手を押さえつけ、額にうっすらと汗をにじませたテッドがニヤリと笑う。
「・・・お前ら如きに・・・俺を支配できると、思うな・・・若造が・・・ッ!」
 琥珀色の瞳が影を取り込んだように一瞬鈍く黒い光を放つ。
 纏わりついていた影がテッドの何倍もの大きさにまで一気に膨れ上がり、ブチッと弾けるような一際大きな音を立てて飛散した。
「ぁがッ・・・!」
 術師の一人が、不鮮明なうめき声を上げて倒れ込み泡を吹く。ほどなくして、もう一人もバタンと受け身も取らずに崩れ倒れ、白目をむいた。
 テッドへ詠唱を向けていた二人だ。
 右手はまだ自由に動かすことが出来ないのか、ダラリと力なく落ちており、左手で支えながらニ、三度小さく頭を振る。そのままギロリと最後の術師へ睨み上げるように視線を投げると、ひっと息を呑んで後ずさり尻餅をついた。
「下がれ・・・お前も同じ目にあいたいか・・・!」
 肩で息をしながらも、ゆらりと立つ姿は不気味な気配を漂わせ、恐怖を煽る。ぎこちない動きを見せる右手も再度黒い影を湛え、テッドの意思で蠢いているようだった。
 歯を鳴らし、脅えた様子で固まった術者を冷たく一瞥すると、ゆっくりと大きく息を吐き出し首を巡らせる。
 見ていることしか出来ずに、ただそこに佇んでいたテオへ。
「・・・すみません・・・やっぱり・・早く・・・出て行くべき、だった」
 浅い呼吸は会話を途切れさせ、かなり苦しいのか汗が頬を伝い、眉は寄せられたまま。なのに口角を上げ、ふわりと微笑う。
 今まで見たこともないような顔で。
「・・・我が身、に・・・宿りし・・真なる五行の、眷族、よ・・・」
 荒い息遣いで紡がれた詠唱に、右腕の影がぱちんと弾け飛び、代わりに清廉な気配が辺りに満ちた。テオの本隊をゆうに超え、合戦場までもを包み込む。
 淡い光を放つそれは水の紋章術。
 敵兵も味方兵も関係なく、命の残る全ての者の傷を塞いだ。失ったものは戻らないけれど。
「・・・・・・・・撤収、だ・・・・」
 紋章の光の粒子が大気に融け、煌めきがまばらになった頃、ぽつりと誰かが呟いた。決して大きな声ではなかったが、さざ波のごとく広がった波紋は、あっという間に戦場であったはずの隅々にまで届く。
「撤収、撤収ー!」
 呟きは叫びへと変わり、力の差を歴然と示された敵騎兵は、回復した身体に、これ幸いと馬を返して逃げ出した。帝国の騎兵たちも、彼らを追うことはせず黙って見送る。
 何が起きたのか解らないのは双方共に同じで、ただ、相手側には戻る場所があったと言うだけのことだ。
 トサリと比較的軽いものが落ちた音がして、騎兵の流れを見ていたテオが振り返る。その先に、立っているものはいなくなっていた。
「っテッド君!」
 瞳の色とよく似た蜂蜜色の髪が、平原の草花の間から覗いている。
 踵を返して駆け寄ろうとしたその時。
「おいおい・・・何て状態だ、これは・・・?」
 低く冷たい陰湿な声が響き、誰もいなかった空間に、黒い甲冑の金の髪をなびかせる男が現れた。声と同様の冷たさを孕んだ瞳がギラリと光り、戦場を一周する。
「・・・ふむ、やはり人程度では抑えるだけで精一杯か。次はそれすらも出来んだろうがな」
 ニタリと笑いながら見分した甲冑の男は、全く音を立てずに横たわるテッドの元へと近寄り、聞こえていないのを解っていながら、見下ろした格好のまま話を続けた。
「足掻いたところで変わらんぞ、闇君」
 人の悪い笑み、というよりは愉しくてたまらない、といった笑みを浮かべ、無造作に襟首を掴みあげる。荷物を肩に担ぐのと同じ要領でテッドを抱えあげた。
「待ちたまえ」
 周りなどお構いなし、といった雰囲気で事を進める甲冑の男にテオが声をかける。
「お主が一体どこの誰で、何をしようとしているのか。聞きたいことは山のようにあるが」
 一度言葉を区切り、首だけでテオを見やった甲冑の男を睨んだ。
「その子をどうするつもりだ」
 自身に課せられた任も。
 術師たちの言う別の勅令も。
 不可解な動きを見せる帝国も。
 他のどんな何よりも。
 ただ、あんな風に微笑った子供を。
「降ろしてもらおうか」
 このまま大人しく渡す気にはなれないと思った。
「・・・マクドール将軍」
 重さを全く感じさせず、今度は身体ごとテオに向き直った甲冑の男が、口元を歪ませてにんまり笑う。
「この者は、我ら紋章兵団に属するのですよ。連れ帰って何の問題がありましょう?」
 口調に小馬鹿にする感じを受け、テオは眉を潜めた。
「貴公は我々の兵団は管轄外のはずだ。口を出さないでいただきたい」
 有無を言わせない口調は、例え兵団長だとしても相手が将軍ならば無礼に当たる。なのに、尊大とも言えるその態度は、全く正す素振りがない。
「お主・・・」
 権力をかさに立場ががどうと言うつもりはないが、これはさすがにどうだ。目を細めて相手を見やると、クツクツと笑い出した。剣呑な気配を発すれば、それを止めるように掌をこちらへ向けて、待った、の姿勢をとる。
「いやこれは失礼した。あまりの愉快さに、ガラにもなく高揚したようだ。だが申し訳ない、お渡しするわけにはいかないのですよ。何より」
 笑いを収めて詫びを入れるも、テッドを差し出すつもりはないと言う。しかも。
「貴公にはこのまま、忍の里殲滅の任につくよう、王より言い遣わされておりますぞ」
 どこからか取り出した、まぎれもない王印入りの書状を、突き付けるかのようにしてテオに手渡した。
「なに・・・」
「では将軍。我らも忙しい身ゆえ、お先に失礼させていただきますよ」
 受け取った書面を確認するため一旦視線を落とし、声がしてハッと顔を上げたそのときには、既に紋章術が発動しており、姿が掻き消える寸前だった。
「テッド君!」
 慌てて伸ばした手は、結局何も掴めずに空を切る。
 ザワザワと風が平原を過ぎる音が静かに流れ、術師たちも姿を消しており、数刻前までは戦場だったというのが、奇妙な感覚だった。


 ツンとキツイ香水の匂いが鼻を刺す。
 ここはどこだろう、自分は何をしていたんだっけ、と、おぼろげな意識のまま考えてギクリとする。
「・・・ッ・・・!」
 勢いよく起き上がり、一瞬で身構えて辺りを見渡すが、そこは記憶に残っている場所ではなく、それどころか正反対の場所だった。
「おや、気がついたかい?」
 そして世界で一番聞きたくない声が響く。
「・・・あんた・・・」
 目が覚めたそこは赤月帝国王宮の一室、王の寵愛を一身に受ける宮廷魔術師の私室で、私腹を肥やした絢爛豪華な調度品は、まるで王妃のそれだ。テッドはその、安宿のベッドよりもスプリングの利いたソファに寝かされていたようだった。
「お目付けを三人とも使い物にならなくしてくれたらしいじゃないか」
 私の手駒の中でも力の強い連中だったのに。
 惜しんでいるのかいないのか、よく解らない声色で言う魔女の言葉に、意識が途絶える直前のことを思い出した。
「・・・あんた、俺に何をした」
 自分の意志とは関係なく動く唇。
 言うことを聞かない身体。
 勝手に練り上げられる魔力。
 右手に感じる不快な違和感。
「あれは補助紋章だって言ったよな。だから俺もつけることに同意した」
 捕らえられた当初は全ての紋章を剥がされ、その上でさらに紋章を無効化する牢に入れられた。随分と念の入ったことだと思っていたら、ある日いきなり、前線で紋章術を揮ってもらおう、と男たちと魔女がやってきて。
 マクドール将軍の北の戦場へ行くためにと、水と土の紋章をつけられた。
 それから、件の右手の紋章と。
 正直これはチャンスだと思った。例え男たちの監視があり、右手の紋章が本当は何であれ、どうにかできる程度のものだろうと。他の誰でもなく、テオの戦場に行くということも後押ししているように感じた。
 こんな状況に陥れておいて、テオに会うことに抵抗がなかったわけではない。けれど、だからこそ会ってちゃんと謝りたかったし、落とし前はつける気でいた。どんなことでも。
 それが。
「・・・『支配の紋章』、だったか・・・何が補助だ!」
 金の装飾を施した真っ赤な椅子に悠然と座る魔女、ウィンディに向かって叫ぶ。
 出来ることなら紋章の一つや二つと言わず、ありったけの魔力全部を使って食らわせてやりたいが、戦場へ出るときにつけていた紋章は、右手を残して外されていた。
 しかもそのせいでなのか、身体がまともに動きもしない。
「おやおや心外だね。それは間違いなく補助だよ」
 わざとらしく驚いて見せた後、ウィンディは表情を緩ませて、喜色を全面に漂わせる笑みを見せる。
「もっとも、私らにとっては、だけどねぇ・・・!」
 高笑いでも始めそうなウィンディに、テッドは唇を噛んだ。何かを企んでいることには気づいていたのに、目先に囚われて真意を計ることが出来なかった。
「その紋章は名前の通り、お前の全てを支配する! あたしの思う通りにね!」
「なに・・・」
 意気揚々と語り出した紋章の詳細に愕然とする。
「今回みたいに、意識を残したまま身体だけを操ることも可能だし、意識ごと、お前を操ることだってできる」
 ザワリと全身に鳥肌が立った。
 全ての支配とは、そういうことか。
「お前は昔、もう誰も殺したくない、人が死ぬのを見るのは嫌だと言ったね」
 紋章の呪いに嘆き、苦しみ、けれども手放すことだけはできなくて、何度も相対した遠い過去、確かにそう叫んだ。
 元から大きな琥珀の瞳は、それが限界じゃないのかと言うほどに開かれ揺れる。そんなテッドの様子を、ウィンディは実に楽しそうに眺めて言った。
「たっぷり見せてあげようじゃないか。自身の放つ紋章で死んでいく人間達を!」
 あーっはっはっは! と、今度こそ高笑いを始めたウィンディに、テッドは何の反応も出来ない。
 これが、人の命を喰らいながら生きてきた者の報いか。
 三百年以上を渡り、星の数ほどの死を見送ってきた者の。
 永き生の、果て。
(・・・・そんなにも俺は罪深いか)
 真っ当な死に方は出来ないだろうなとは思っていた。そもそも死ねるのかどうかさえ怪しかったけれど。
 それでも。
(夢を、見ていたんだな)
 グレッグミンスターで。
 マクドールの家で。
 親友の隣で。
 穏やかな時を過ごせるのだと、ありえない夢を。
(ティル)
 ゆっくりと、何とか動く右手を見る。そこに浮かび上がるのは、長年共に過ごしたものとは似て非なる呪いの紋章。テッドを唯一と選んだ闇王の魂喰いではない。
 だが最後の鍵はここにある。
(ごめんな)
 テッドが存在する限り、ソウルイーターはテッドを求める。
 魔女もまた、力を手に入れるためにソウルイーターを欲するだろう。ソウルイーターは、テッドの意思がなければ発動しない。それを知っているからこその支配だ。
 ならばきっといつか、対峙するときが来る。
(―――・・・ごめん)
 そのときを予感して今ここにいない存在を想った。
 届かないと知っていながら。





 そして支配は、その命を賭して、解かれる。















 途中でアレンとグレンシールは空気になりました。

 ゥオオオォォイ!!ヽ(#゚Д゚)ノ




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HN:
月島うらの
性別:
女性
自己紹介:
ただひたすらに、テッドへの愛を叫ぶ。
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