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30のお題・)24運命

2010.09.07 (Tue) Category : 30のお題



★要注意★

捏造し放題です。
どんなんでも美味しくいただけんよ! って人向けです。

)13檻 の続き。



大丈夫バッチコイって方は、下の呼んでる顔文字君からどんぞ。





拍手[9回]



「見ぃつけたぁあああ!!」
 残念ながら聞きなれてしまった声と気配に、正直またか、と思った。
 

 うしろから追いかけられている足音は5つ。ガチャガチャと金属が擦れる音も聞こえるから、正規軍の兵士だろう。最初は2つだったものが、いくつ目かの角を曲がった辺りで3つ増えた。
 それというのも。
「おお、いつの間にか増えたな?」
「・・・あんたのせいだろうが・・・ッ・・・!」
 隣を併走する、クソ目立つ赤い服の青年のおかげである。
 確かにこの地域は赤や青や黄色や、カラフルな色を取り入れる民族が多々共存しているけれど、青年の服は形そのものが独特で、この地域のものとは違う。当の本人が全く気にせず大騒ぎするのも問題で、ご丁寧にも、呼ばれれば返事までするから始末に負えない。
 挙句、容姿そのものが目を引くのだ。
「あんた本当、自覚しろ・・・!」
 ゲラゲラ笑いながら走る青年に、何を言っても無駄だというのは、今までのことを振り返れば解るのだけれど、言いたくなるのも仕方がない。
 これで何度目だ。
「折角俺が目立たないように大人しくしてるっつーのに、あんたがいるってだけで注目浴びるじゃねぇか・・・!」
「あ? なんだ、誰かに見つかりたくないのか? ・・・ああ、だから逃げるときいつもフードかぶってんのか!」
 平素では後に落とされているフードだが、ここの所以前に比べてかなり使用回数が多い。それだけこういう状況に陥っているということに他ならず、さすがにそろそろ身バレの危険が伴う。
 と、危惧しているというのに。
「でもお前、そのフードが逆に目立つみたいで、俺と一緒のフードは仲間だって思われてるぞ?」
 まぁ大概街中で逃げてるときは、俺がお前に振られてゴネてるのが見つかって一緒に逃げてるときだからなー、そりゃ仲間だと思われるわ。
「・・・・・・・・・・・は?」
 わははと自分の与り知らぬことを元凶に笑われ、思考が止まった。その上、追い討ちをかけるように聞こえてきた兵士の声は、「そこの2人、待てー!」だ。間違いなく、一緒くたにされている。
「・・・次の角で二手に分かれようぜ。あんた右に曲がれ。俺は左に曲がるから」
「お前、それで前に俺まで撒いただろ!」
 追手を撒く名目での提案だったが、実のところ本当に撒きたいのはこの青年で、以前同じ手を使ったのをどうやら覚えていたようだ。せいぜい二月ほど前のことだから、通常ならばそれも然りとは言え、青年ならば何となく効くような気がしたのだけれど。
 もうその手はくわねぇ! と息巻いているところを見ると、学習能力はあるらしい。
 紋章の呪いってどこまでだ。
「っつーわけでさ」
 また数人の気配が背後に増えたが、それもどこ吹く風で青年が軽く口を開く。こうして街中を走り回ってすでに小一時間ほどになるが、息を荒げる素振りは全くない。
「これも運命だと思って、俺んとこ来いって」
 ニカッと人好きのする満面の笑顔で言い放ち、続けざまに、
「そしたらあいつら全部のして、ティータイムにご招待できるからよ」
 実にのんきなことをのたまった。
 青年は相も変わらず単独行動中のようで、付近に仲間と思わしき影はない。つまり、正規軍の兵士を一人で相手にすると言っている。それは。
「・・・助けてやるから仲間になれって?」
「そうそう! 話し早くて助かるなー。解り易い交換条件だろ?」
 どうよ、と、さもいいことを思いついた子供のような表情で得意気に見返す青年に、僅かに眼を細めて小さく息を吐く。
「まぁ、確かに追いかけっこも飽きたな」
「だろ?」
 にっこにっこと笑う青年の言うとおり、そろそろお茶の時間に差し掛かる頃合だ。間違いなく飽きたし、何よりも、無尽蔵な体力があるわけでもない。引き上げ時だろう。
「でもあんたの仲間になるつもりはない」
「えぇ!?」
 チラリと注意を後方へ向け、追ってくる気配の数と距離を測る。
 隣を走る青年は、良いリアクションで驚いてくれた後、連敗記録更新か・・・ッ・・・! とかなんとか指折り数えて呟いていた。律儀にも数えていたらしい。
「運命って言葉は好きじゃない。それに」
 靴底の砂を滑らせながら身体を反転させたときには、たった今まで何も持っていなかった両手に弓矢が握られ、体勢を整えるまでの間に番えた矢は、角を曲がり駆け込んできた兵士の足先ギリギリを狙って放たれる。
 そのまま数本の矢が、通路を阻むように等間隔に連射され地面に突き刺さり、兵士達がたたらを踏んだ、とき。
「落ちろ」
 ごく簡単に、それだけを言うと、バチンと何かが爆ぜる音がしたと同時に、それは鏃へと到達した。そしてその何かは、すぐ傍にいる兵士の金属の鎧や剣を地絡代わりに伝い、内部に届く。
 バリバリと鋭い音が響いて、総勢8名にまで増えていた兵士全員が倒れこんだ。
「・・・は?」
 あっという間にこなされた動作は、まさに『流れるような』と称されるに相応しく。一番近くで全貌を見ていた青年ですら、何が起こったのか即座に理解はできなかった。
「この程度、あんたの助けがいるほどのレベルじゃねぇよ」
 きっぱりと言い切るその顔に、言葉通りの強さが見える。
 兵士の鎧や剣の切っ先からパチリと小さな音がいくつか鳴り、同じくらい小さな火花が散った。
 水の紋章で治療をしていたのを見ているし、以前鍵を焼き切ったことで、もう片方の手には火の紋章をつけているのだと思っていたのだが。
「・・・放電? 雷の紋章、か?」
 間違いなく、今放たれたのは雷のそれだった。
 しかも詠唱なし、魔法名らしき魔法名の呼称もなし。紋章への強制的な直接干渉。
 それが出来るのはよほど稀有だと、あまり紋章に詳しくない青年だって知っている。
 単体への攻撃が基本の雷の紋章魔法を、雷の特性を利用した全体攻撃へ変えた応用力と、それを可能にした弓矢の精確さも。
 想像以上。
「そんなわけで、交渉決裂だな」
「はっ!」
 一体どこにどういう風にして携えているのか、弓矢は再びフード付外套の中に隠されて、手ぶらになった少年が言う。
 そのまま呻き声を上げる兵士に近づいたかと思えば、しゃがみ込み遠慮なく鎧を弄っているから、戦利品でも探しているのだろう。やがてコインの入った小袋をいくつか見つけ懐にしまった。何から何まで手慣れたものである。
「・・・あいつから聞いてるだろうけど、俺しつこいからな。諦めねーぞ」
 懐の重みに満足そうに立ち上がった少年が、来た道を戻る方向へ足を進めると背中に声がかかる。ゆっくりと振り返れば、挑戦的な瞳の青年と目があった。
「俺はお前が欲しい。だから何回だって、お前を仲間に勧誘する」
 強い光を放つ瞳だ。
 過去に何人か、片手で足りるくらいの人数だが、それを持つ人間に出逢ったことがある。
「・・・あんたがどうしようと構わないけどな」
 ふっとまるで苦笑でもしているような表情を見せて、腰に手を置いて言った。
「俺にも譲れないものがあるから、あんたの誘いには乗れないし、乗らない」
 じゃあなと軽く手を振って歩いていった少年に、それでも叫ぶ。さっきと同じ、挑戦的な光を宿したまま。
「俺はエン。誰が呼び始めたんだか知んねーけど、炎の英雄とか言われてる」
 この地域特有の乾いた空気は、止まない風と相成って音を高く遠く響かせる。
「いつか絶対、俺んとこ来てもらうぜ!」
 誓いのように宣言された言葉に少年は身体全体で振り向いて、後ろ歩きをしながら笑みを作った。
「・・・テッドだ。グラスランドの義賊だろ、知ってるよ」
 言って今度こそ歩き去ってしまったテッドと名乗った少年は、全く取り合わずにああ言ったけれど。
 青年・・・エンにとってのその単語は、今の自分を表するのに無くてはならないものだ。
「引き寄せてやるさ」
 お前も。
 自分が望む、運命も。


 顔を合わせてそろそろ一年になる今。
 二人は初めて互いの名を告げた。



 

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自己紹介:
ただひたすらに、テッドへの愛を叫ぶ。
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