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30のお題・)5青空

2011.01.31 (Mon) Category : 30のお題


すいません・・・色々精一杯でした・・・。
でしたっつーか、まだ続きそう、です・・・!(げぶあー)
あんまりにも進まないから、家でも書いてる始末だよ・・・。
いや、それが普通なんだってのは解ってる!


とりあえず久々のお題は、これまた久々の捏造三昧。
13)檻24)運命 のシリーズなので。


★要注意★
好き放題自分勝手に想像して書いておりますので、どんなんでも噛み砕いてやんぜ! って人向け。
おっけてぃんぐ! って方はどうぞ顔文字君から先にお進みください。
ちょっと長いです。



ところでふらっと来たら今年番号2011を踏みました。
まぁ踏みましたっつっても管理人は踏めない設定になっている(はず)なので、直前の方の番号なんでしょうけど。
・・・ん? あれ、いつの間に2000番突破してた・・・!?(衝撃)
うおおあありがとうございます!
えっと何だ、少しネタとか募集した方が良いですか。
あー、でも消化できないと申し訳ないな、うん。





拍手[6回]




 微かに聞こえる何かが流れるような音は、乾燥帯に属するグラスランドの場合水ではなく、砂が移動する音だ。乾いた大地は、時折降る雨も即座に身の内に沈めてしまい、表面に残る僅かな水分で小さな草が息をする。
 砂漠地帯よりは大分、いや、かなり生活できる地域だが、他を知っていれば住み難いとしか思えない。
 薄暗い石造りの建物の中で小さく、短い溜息のようなものを漏らし、それでもとテッドは頭上の空気口を視界に入れた。
(・・・もう少し、この辺にいたかったんだけどな)
 グラスランドに入って一年が経った。
 確かに各地を転々としなければならないが、旅人や遊牧民が多いこの地域ならば、町々を歩いて三年はいられるはずだった。通常ならば。
 ゆっくりと首を戻して、入口近くの机に置かれた自身の装備を見やる。札やら交易品やら毛布やらが入った旅仕様のバッグと、着古した外套も無造作に重ねられていた。
(まぁでも、確かにそろそろ限界か)
 訪れた頃はまだ探って解る程度だった流れは、いまやもう、その形が見え始めている。まだ輝きは足りないものの、星の動きも活発になってきた。このまま行けば、間違いなく動く。
 そんなところにテッドが・・・ソウルイーターがいるわけには行かなかった。
(さて・・・次はどこに行くかな)
 ハイランドや赤月を経由してカナカン、ガイエンやファレナを回っても良い。時期はまだ、海も陸も荒れる季節ではない。どこを通ってどこに行っても良いだろう。
 先に思いを馳せているそのとき、カツンと何か硬いものがぶつかる音が耳に届いた。
「・・・・・・」
 即座に体勢を整えて気配を探れば、石造りのせいで読みにくいそれも、確かに上部に何かがいると知れる。注意深く見ていると、すぐに音のした辺りから、パラパラと石と言うには小さいくらいの砂が舞った。
 そして今度は音もなく、人一人が通れるくらいの四角い穴が開いて。
 勢いよく赤い塊が落ちてくる。
「ぃよっと。やっぱまだ使えたな、この穴」
 大きさや落下速度の割には、トッと軽い音一つだけを立てた塊が声を発した。不本意ながら、顔を見ずとも判断可能なまでに馴染んだ声を。
「よーぅ! 助けに来たぜ!」
 実に軽く、いっそ暢気なほど。
「呼んでない。帰れ。」
「第一声がそれか!」
 手をかざし、ドバーンと言う効果音でも背負いそうな勢いで登場したエンは、特に何の感慨もなく、むしろやや冷めた目で切れ味の鋭いテッドに言葉に一蹴される。
 けれどそれもすでに慣れたもので、落ち込むことなくツッコミを入れられるのは、元の性格もあるのだろうが、いっそ見事だ。
「しかしアレだな」
 ひょいとしゃがみ、座っているテッドの視線にあわせたエンが、実にしみじみと口にした。
「お前、何かっつーとここにいんな」
「・・・・・・・・ちょっとこっち来て心行くまで殴らせろ元凶。」
 誰のせいだ本当マジで。
 きっと今手元に弓矢があったら、テッドは間違いなく全部に雷の効力をかけて撃ち切る。
 のんびり言い放った相手の言う『ここ』。
 石造りの、牢。
 装備と荷物がある机は柵の向こうで、テッドは身ぐるみ剥がされて投獄されている状態だ。元凶と言わしめる理由として、町に立ち寄っていた兵士が運び手の仲間と判断して拘束したそれが上げられる。
「この町にいる俺の仲間から、お前に似た奴が連れてかれたって連絡入ってよー」
 知ってか知らずか、訂正、確実に経緯を知っているからこその台詞にもかかわらず、悪びれた様子が微塵もない目の前の他薦英雄に、テッドは憤りを逃がすのに必死である。
「お前がそんなヘマするわけねぇって思ったけど、それならそれで、勘違いで連れてかれた奴には申し訳ないからな、バカな兵士の連中に物申してやろうと思ってきたんだよ。でも合流した仲間に特徴聞いたら、どうもやっぱりお前っぽいし、こりゃちょっと行ってみっかなって」
 俺のことは放っといてくれと、百年ちょっと前には口癖のように言っていた文句が、当時とはやや違った意味合いで再び飛び出しそうになる。
 と言うか今まで既に何回か飛び出した。
 当時の連中と同じく、聞いちゃくれないのだけれども。
「で?」
 さっきよりは近く、けれどもギリギリ手の届かないところに陣取っているエンが、カクンと首を折って不思議そうに疑問を乗せる。
「お前何してんの、こんなとこで」
「だから・・・!」
「違くて」
 出れるだろ、このくらい。
 ほんのちょっと前に自分でも事の発端を話していただろうに、原因に繋がる部分のスルースキルはさすがすぎんだろと言う内容を、所謂罵詈雑言で伝えてやろうと思っていたのだが。
「・・・別に」
 相手の疑問は、捕まったことではなく、捕まっていること、だった。
「仲間に聞いた話だと、一切抵抗もしないでおとなしかったらしいじゃん?」
 三人の兵士は身構えた様子ではあったけれども、気配も読めたし装備も万全だった。テッドにとっては取るに足らない相手で、エンの見ていたという仲間も助ける必要はないと思ったらしい。
 それがあっさりと捕まり、挙句おとなしく連れて行かれてしまう。捕まえた当の兵士でさえも拍子抜けしていた。
 少なくない話を聞き、見知っているものとはずいぶんと違う態度。それは。
「俺とは全く関係のない、ただの一般人を装ったって訳か?」
 この目立つ存在としょっちゅう追いかけっこをしているせいだろう。危惧していたことは、その通りになった。
 運び手のメンバーで、しかも英雄に近しいものだと完全に認識されたのだ。
 幸いにも顔は知られていないようで、装備品や身に纏うものから、『英雄の連れ』を割り出していると思われる探索方法は、結果的には穴だらけとは言え、特徴はかなり捉えられている。
 このままならばいずれ、そう遠くないうちに、顔バレする可能性が高い。
「・・・実際俺は、ただの一般人だ」
 まさかテッドとしてもこんなに早く情報が回るとは思っていなかったが、バッグの中身も本当にただの巡回者と変わりない上に、兵士たちは『連れ』を英雄と同じ青年だと誤認していた。
 最悪どうにでも切り抜けられると、おとなしく従って。
 この牢から力づくで出なかったのも、関わりあいのない旅人なら、すぐに釈放される。抵抗は逆効果、そう判断したからだ。
「だから、今あんたに出てこられちゃ困る。じきに釈放だ」
 探られても痛くもない腹だったはずなのに。
 英雄の登場、ただそれだけで、状況は決定打になる。
「うーん」
 なるほどとしたり顔でうんうん頷くエンは、一度小さく掛け声で勢いをつけ立ち上がり腕を組んだ。
「ワイアットの言うとおりだったか・・・なんか釈然としねーけど」
 実は問題英雄のエンとは違い、今名の上がったワイアットには、初体面時にちゃんと自己紹介を受けている。そのときのテッドは沈黙を通したが、彼は自他共に認める英雄の片腕で、運び手のサブリーダーのポジションだ。
 良識もあり、先見の目もある、出来た人柄だった。
 何でコレと親友やってんだろうと思うほど。
「よし、じゃあとりあえず話も一段落したし」
 考え込むようなポーズだったエンが大きく頷き、ぐるりと首を回してテッドを正面に入れる。
「逃げようぜ!」
「あんた今までの俺の話は聞いてなかったのか頭に入ってなかったのかどっちだ。」
 キラッと輝かんばかりの笑顔付きで言い放たれた台詞に、普通のツッコミしか入れられなかったのが残念だ。
 気を取り直すように短く息を吐き出して、眉根に力を入れる。
「前から言ってるだろ。俺はあんたの仲間になる気はないし、あんたの助けもいらない・・・迷惑だ・・・!」
 エンに右手の死神のことは言っていない。だから、テッドが何を思っているのか、どうして拒むのかを知らない。
 話す気もないし、これ以上近寄るわけにもいかないのだからと、あえて強く、初めて拒絶の言葉を口にした。胸に刺さるものに痛みを覚えても。
「・・・・・っておぉい!」
 さすがに言いづらくて顔も見れず、視線を逸らしてしまったと言うのに、言われた本人は、相変わらず聞いていないのか入っていないのか、ガチャンとどこからか見つけ出してきた鍵で牢の錠を開けている。
 ノリツッコミも出ようものだ。
「おっし、行くか!」
「本当頼むからマジで人の話を聞いてくれ。」
 強引な人間は今までだって何人もいたけれど、ここまでずかずかと無遠慮に突っ走る奴は初めてに思う。カリスマと言えば聞こえはいいが、相当紙一重だろう。
 それにしても。
(・・・こんだけ大騒ぎしてんのに、誰一人の兵士も様子見に来ないってことは)
 何らかの方法で、基地機能を麻痺させていると見て良い。
 痕跡が残ってしまえば、もう留まっても意味はなかった。長く深い溜息をして、何か最近この深呼吸多いなと思いながら、テッドはゆっくりと立ち上がる。
 牢の入り口は開け放たれて、出迎える位置にエンがいた。
 格子の向こう、石造りの薄暗い中くぐった牢口で。
「・・・・・そんなに俺の仲間になるのが嫌かね」
 小さくそう言って苦笑する。
 自信満々で、唯我独尊を地で貫くようなイメージを持っていたエンと言う人物像が、初めて揺らいだ。


 基地内は思ったとおり、全く機能していなかった。血の匂いも紋章の気配もなかったから、薬品の類で眠らせたか。何にせよ逃げるには絶好の状況。
 ここぞとばかりに各部屋に突入し、それぞれ好き勝手に物色する。
 普段の行いが似ているだけで、別に示し合わせているわけじゃないからなと、誰も訊いていないし聞いていない言い訳を胸の内でしておいた。
 ただの自己弁護である。
「いただけるもんは粗方いただいたな。そろそろ行くか」
「ああ」
 人数が人数だから骨董品や鎧の類は持ち出せないが、石やポッチ、札や封印球などをテッドはバッグにつめ、エンは懐から取り出した大判の風呂敷に包み、挙句、棍に括りつけて担ぎ上げる。
 あんたそれ、自分の獲物じゃなかったか。
 口から出る寸前までいったものの、便利な武器だなと見当違いの方向へ修正させて落ち着かせた。いちいちツッこんでいたら、確実にキリがない。
「・・・あ?」
 エンが潜入してから一刻は悠に経っている。効き目の持続が心配になり、尋ねようと顔を上げたとき、向いた先の本人が奥の方を見て間抜けな声を発した。
「なに・・・」
 不審に思い眉を顰め、テッドも視線を同じくする。
「「あ。」」
 声がシンクロしたのはエンとではない。
 目が合った、牢室の入口にいた見張りの兵だ。足取りが覚束ないところを見ると、目覚めた直後か。などと状況判断をしている場合ではなく。
「・・・・・・・・・に・・逃げたぞー!!」
 数秒のタイムラグのあと、叫ばれた声と同時に、けたたましい警鐘が鳴り響く。覚醒しかけていた兵士達は、その音でよろめきながらも身体を起こし出した。
「うっわ、やっべ!」
「あんたまだ薬は持ってるか!?」
 応戦しても充分勝てるだろうが、今以上の身バレと消耗は得策じゃない。足止めと情報かく乱に重心を置くことにする。
 笑みを浮かべてはいるものの明らかに焦った声色のエンが、手を突っ込んだ懐から取り出した、手のひらに乗るサイズの小さな巾着袋を確認して左手に力をこめた。

「さっさと逃げてりゃよかったかー」
 でも折角だからお宝探していこうぜって言う、俺のトレジャーハンター精神がなぁと一息つけたエンが言う。
 結局まやかしの霧を基地全体を覆う規模で発動させ、天井に向けて放った矢にくくりつけた薬を、エンが発した炎による風で撒き散らすという方法をとった。今現在、基地は再び健やかなる眠りの最中だ。
 大分無理矢理だったが、メンツがメンツなら大概はこなせるものである。
「トレジャーハンター、ね」
 物は言い様で、ただの賊のはずがこれだと立派に聞こえるから不思議だ。呟くように言ったテッドが、再び左手を掲げたのを見て首を傾げる。
「まだなんかすんのか?」
 基地内は静かなもので、誰一人として起きてはいない。あとは逃げるだけなのだから、これ以上は不必要だと思うのだが。
「・・・顔がばれてるからな。あんたが来なけりゃ何もしなくて良かったんだけど」
 ふわりと漂う紋章の気配が、いつも感じるものの雰囲気と違く感じられる。清廉な水と言うより、光すらも届かない、深い底の冷たさを湛えた水のような。
「俺の記憶を少しでも曖昧にしておく」
 魔防値の高い奴には効き目が薄いだろうけどと何でもなく続けられた台詞に、へぇと納得しかけて。
「は!? そんなこと出来んのか!?」
 物凄い衝撃を受けたような顔をしたエンが振り返った。立場や状況柄、多くの人間に出会ってきているが、記憶まで操作できるなど聞いたことがない。
「実際にどうこう出来るわけないだろ」
 聞けば、まやかしの霧のような効果をピンポイントで記憶の部分に使い、催眠術に近いイメージらしい。
「え、じゃあ俺のこともぼかすこと出来んのか?」
「記憶って言うのは、繰り返すことで濃さが増す。あんたはもう無理だな」
「・・・・・あ、そう」
 冬の海の色のような青い粒子が弾け飛んだのを見届けて、テッドが荷物を抱え直した。それを完了と解釈し、エンも棍を担ぎ直す。
 あとはもう、何の苦労もなく基地を後にした。


 町から少し離れたところに位置していた石造りの建物は、歩いて十数分で外れに辿りつく。囲う外壁が近づいて、何故か妙な賑やかさが気になった。
「お、やってんなー」
「・・・何が?」
 いやな予感がして、進む足が遅くなる。
「今日は祭りなんだよ。まぁ表向きはだけど」
 なら本来はと聞く前にエン自らがネタばらしをしてくれた。
 予感は正解だと。
「炎の英雄御一行様歓迎大祝賀会」
「何してんだあんた。」
 もっと忍べよ、指名手配!
 テッドの意見ももっともだが、なにぶんこの義賊は英雄と呼ばれるだけのことはあって、民衆からの支持が高い。
 関係者や、関係者をかくまっていることを突き止められれば咎を受けるが、今までそれは兵士が自ら探しあてた場合しかなく、民衆達から告発されたことはないのである。
「外堀から埋めんのも大事だよな」
「・・・・・・は?」
 唐突に続けられた前から繋がらない話は、牛歩の歩みだった二人の足を完全に止めた。
 町の入口には、こちらに気がついて手を振る青年もいる。気付いたエンが軽く片手を上げてそれに応えていた。
「俺の仲間に限らず、あの町でお前が連れてかれたの見てるやつ、結構いるんだよ」
 立ち寄る予定じゃなかった町にたまたまいたテッドが、タイミング良く兵士たちに捕らえられたという情報を、丁度近くまで来ていた運び手の一隊が受け、その中に偶然エンがいただけのことだったのだが。
「ようは周りが、お前は俺のもんだって思えば良い」
 それは何も知らない外側から見た人間にとっては、折り重なって起きた単なる事故などではなく。
 最近噂される『英雄の連れ』の話が本当だと、裏付ける要因にしかならなくて。
「そうすりゃお前が望む、望まないに関係なく、お前の居場所は俺のところになんだろ」
「な・・・・」
 兵士たちには強硬手段を取れたとしても、敵でもないただの一般町民に紋章術かけるわけにはいかないよな、とニヤリと笑う。
 ふてぶてしいまでの言い様に、さっき牢前での弱々しいアレは何だったのか。テッドは開いた口が塞がらない。
 腕を組んで斜めに構えていたポーズをただし、正眼に据えてエンが言う。
「俺、お前の事情どーでもいいもん」
 やたらと精度の高い弓術も。
 規格外のレベルの紋章術も。
 この歳で妙に旅慣れ、襲撃に慣れていることも。
 恐らく、追手がいるのだろうと言うことも。
 どうしてとか何でとか、原因とか過程とか、どうでもいいのだ。
「仲間になれよ」
 ただ、欲しいと思う。
「俺んとこ来い」
 自分の見る目はある。直感も信じている。
 それが告げる。
 手に入れろと。
 逃すなと。
「なぁ? テッド?」
 グラスランド特有のからりと乾いた空気のように、開けっぴろげで裏表のない子供のような笑顔で。
 呆気に取られたテッドが仰げばそこに、いやになるくらいの、青空。







テッドの台詞の半分がツッコミだった件について。



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プロフィール
HN:
月島うらの
性別:
女性
自己紹介:
ただひたすらに、テッドへの愛を叫ぶ。
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