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逃亡
2010.08.25 (Wed) | Category : 幕間
「坊ちゃん!?」
勢いよく踵を返したティルは、そのまま階段を駆け上がる。慌てて背を追ったグレミオが辿り着いたのは、ティル本人の自室だった。
ガタガタと取り繕う様子もなくクローゼットやタンスの引き出しを開けたティルは、いくつかの荷物を取り出していて、意味が解らないまま見守っていたグレミオだったが、ティルが外套を羽織ると目をみはる。
「・・・どうするおつもりですか・・・!?」
直前の光景を考えれば、その行動は取るに足らないくらい解りやすいけれども。
「テッドを追う」
あえて問えば、手早く身支度を整えたティルの答えは、やはり予想通りのものだった。
追われていると言った。
時間がないとも。
それから、ごめんと。
「坊ちゃん!」
「気付いてたんだ」
腰紐に小さな袋をくくりつけ、ごく少ない手荷物を取り、立てかけてあった棍を握る。
「テッドが近いうち、この街を出て行く気だって」
身長を追い越したとき。
近衛隊への仕官が決まったとき。
そしてさっきも。
(決まって、あんな顔をした)
遠いどこかを見るような。
酷く、やさしい顔を。
そのたびに言いようのない焦燥感に駆られて。
何かが。
とても怖かった。
「だから決めていたんだ」
ゆっくりとティルは振り返り、眉を寄せてこちらを見ている従者を視界に入れた。
彼がそんな顔をする理由も解るけれど。
気付いてから、決めてから、その時がいつ来ても良いように、誰にも知られずに用意をしていたのだ。
「テッドが出て行くときは、僕も行くって」
それがどんなときでも。
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