300歳ブログ
ハローハロー。
2010.09.30 (Thu) | Category : 幕間
11月三都の申込書、会社の帰りに投函してきました。
6月に初めて参加したときは、友達二人と一緒に行ったんですが、今回は誰か釣れるかなー・・・。
まぁそのときは覚悟決めて一人だけど!(苦笑)
そもそもとして、スペース頂けるかどうかだよね!
そして10月はテッド月ってことで!
テッド尽くし様でも強化月間に入られました。
うひょー! 毎日テッド! 何それどんな天国!
なんか出来たらいいけれども、ウチのテッドは基本パラレルと言うとんでもないことに気がついた。
うーん。
どうしよう・・・!(苦笑)
はい、そんな生存パラレルですよー。(わぁ)
すでに書き直したい衝動に駆られている。
天気の良い午後だった。
まだ次の作戦も計画段階で、仲間集めや必要物資の手配、情報収集に勤しむ毎日が続いている最中。そこまで切羽詰っているわけではない状況。
山のように積んである書類も緊急のものは全て目を通し、各部署への振り分けと指示をする。一段落ついてティルは腰を上げた。
「マッシュ、休憩にしよう。僕は少し気分転換をしてくる。もし急ぎのものが出てきたら、呼んでくれて構わない」
「解りました。では私も少し休憩に致します」
ゴキゴキと固まった肩や背中をほぐしながら言えば、すぐ隣の机で同じように黙々と書類作業をしていた軍師も顔を上げて、頷きながら同意する。
朝からぶっ続けに今までだ。多少の茶飲み時間や昼食があったとは言え、書類を確認しながらのそれは息抜きに値しない。
適度な休憩を取って、脳に糖分や身体に酸素を取り入れるのは、それからの集中力に大きく影響する。重要案件は終了したのだから、ある程度長い休憩を取っても構わないだろう。
じゃあ、と言ってティルは執務室の扉をくぐった。
えれべーたーと言うものがセルゲイの発明で作られたが、何となく階段を使いたかったのと、実は人力と言う噂を聞いてから使い辛いという理由もあって、階下へは自分の足で下りて行くことにした。
どこかから帰って来るたびに、本拠地である古城は広くなる。
そういえば最初は二階くらいまでしかなかったような、と思えば感慨深い。ティルの自室や執務室は当然のように最上階だ。階段の上り下りだけでも、固まった身体には十分な運動に変わる。
気分転換とは言っても外は湖で、ホイホイ簡単に出て行けるわけもなく。覗いた広間に探している姿があったから、道具屋や紋章屋が軒を連ねる商業階に足を踏み入れた。
「お、ティル。どした? 書類終わったのか?」
気付いたテッドがくるりとティルに向き直り、ニカリと笑う。
「あ、と・・・うん・・・今、は、休憩」
「無駄に多いよな、書類って」
わざわざ申請書類とか面倒くさい、とスッパリ言い切って小さな溜息を吐くテッドは、間違いなく探していたテッドで、釣りに誘えばバケツと竿だけ持って軽く桟橋まで遊びに行くくらい、いつもと同じテッドなのに。
「・・・・・ねぇ」
「ん?」
ティルはじっくりと眺め見やる。
「・・・どうしたの、これ」
いつもとは明らかに違う、テッドの腕の中。
そこには、柔らかく暖かそうな布に大事に包まれた赤ん坊が、すやすやと寝ていた。
「何言ってんだ」
しかも。
「俺の子だろーが」
琥珀色の瞳を僅かに大きくして、何を今更と驚いたような表情を見せたテッドが、むしろこっちが驚く方じゃないのかと言うほどの内容を続けて口にする。
どんな夢だろう、これ。
完全に止まった思考は動作をも止め、尋ねたときの何とも言えない表情のまま停止した。
「あれ? ティル?」
思惑が外れた少し焦りを含ませる声がテッドの口から漏れるけれど、それは見事にティルの頭上を通り抜ける。
視線は再度ゆっくりとテッドの腕の中、黒髪の赤子に注がれた。
黒髪の。
テッドの子供。
「・・・・・・テッド」
またもゆっくりと上がった視線は、名を呼んだテッドにバチリと合い、緩慢ともいえる動きをした両手は、痛いくらいの強さを伴って肩に置かれる。
びくりとテッドが身構えたが、ティルは気付いていないのか気づいていてスルーなのか、全く関せず言葉を乗せた。
「一体何がどうなってそうなったのかは全然解らないんだけど、子供が出来たってことは君がここに留まる理由が出来たってことだし、それは僕にとっても願ったりだし、むしろそんなの関係なくいて欲しいんだから、逆に諸手を挙げて歓迎する。と言うかすまない、今まで知らないとは言え、母体であるテッドの身体に気を遣えなくて。でも喜んで責任は取る。マクドールの家に入ってくれ」
「うん、ごめん、俺が悪かった。疲れてたんだな、頼むから落ち着け」
だから『母』体とか言うな。普通は俺が孕ませる方だろ。って言うかなんで相手お前なんだ。
今の内容の全てにツッコミを入れたい。
「・・・違うの?」
「当たり前だ」
場所を変え、マリーの宿兼食事処といったところに腰を落ち着けた。テーブルには二人分のお茶が出されている。
「母親が今ちょっと体調悪くしてて、リュウカン爺さんとこで療養中なんだよ。その間、俺が面倒見ることになって」
だから医務の方も免除中、と続けるが、やはり緊急の場合は呼び出されるのだという。互いになかなか忙しい身分だ。
「なんだ、そうか」
「ガッカリする理由が解んねぇ」
ふぅと小さな溜息を吐いて肩を落とし、両手でカップを握る姿は、さも残念ですと言わんばかりでげんなりする。百歩譲って子供好きの理由を立ててやってもいいが、途中に他を挟む余地を与えなかったほどの勢いを考えると、混乱と疲れから来る自棄の半々だろう。
「そう? 僕は残念だったけど?」
コトと軽い音を立ててクッキーの乗った小皿を置きながら現れたのはラズロだ。薄いブルーのエプロンを身につけていて、ポケットにはオーダー票を入れている。
「・・・お前はからかう要素があればそれでいいんだろうが」
ありがとう、どうもな、と各々礼を言ってから手を伸ばしたら、何言ってんの150ポッチだよ、と言われた。勝手に出してきて金取んのかと食いつくところだが、茶はサービスで(テッドが入れたけれど)、何より静かに寝ている赤子を考えれば、大きな声を出すのは躊躇われる。
渋々オーダー票を受け取れば、ラズロはそのまま二人のテーブルに腰を下ろした。
「お前、仕事は」
「大丈夫。お客さんが来たらすぐ動けるから」
ラズロが解放軍に合流する前は、路銀がなくなったという理由で、普通に街でバイトをしていたのだ。最低限生活の保障はされる解放軍だが、今後の路銀を貯めるのであれば仕事は必至。
小間使いスキルを最大に利用した結果、マリーの宿やアントニオのレストランを筆頭に、忙しくアルバイトの鬼と化している。
「僕も、テッドが赤ちゃん抱っこしてるの見たとき、うわぁって思ったもの」
「だよね」
「だから何でだ」
子供を抱いたテッドがラズロと遭遇したのは、まだ預かって間もなく、色々入用なものを準備しに出ているときだった。ラズロのほうもバイトに入る前だったようで、今と違ってエプロンもつけておらず、小走りに広間を横断していたのだけれど。
あ、と思った瞬間に、猛ダッシュで近寄ってきて、ガシィッと肩を掴み良い笑顔で叫んでくれた。
「ありがとうテッド! 大役お疲れ様! 僕、男の子だったら名前はケネスかタル、女の子だったらポーラかジュエルがいいな!」
と。
ティルを思い返しても、天魁星ってこんなのばっかりかと思ってしまうのは仕方ない。
ちなみにその後、じゃあスノウにすると言ってみたら、折角の造形が台無しという顔をしてから、何で!? と涙まで浮かべた。自分の親友の名前だろうに、なんだその反応と思ったが、そういえばなんか複雑なんだったと思い出した。
「でも他にも言われなかったのか? その子抱いてて」
自分でどう思っているかは定かではないが、テッドは意外に目立つ。何となく目を引くとでも言うのだろうか。
もっとも、戦争中や作戦中等、気配絶ちを必要とされるときは全く感じ取ることは出来ないから、あえてそう振舞っているのかもしれない。
そんな人間が、赤子を抱いているなら、余計に注目されると思っての台詞だけれど。
「ああ、まぁ・・・言われたというか」
冗談が通じそうな相手には、仕掛けてみたけど。
「仕掛ける?」
質問とはちょっと変わった答えが返ってきて、ティルが不思議そうに首を傾げて疑問を投げる。ラズロも同じように基本の表情、笑顔のままで疑問符を飛ばしていた。
健やかな眠りの中にいる赤子を一度見やってから顔を上げたテッドは、ニッコリと爛漫な笑みを浮かべる。
「そうそう。例えば、父親は貴方ですって言われて預かったとか」
「それは愉しそうだね」
実に面白い企みに、そこんとこ詳しく、と二人ともぐっと身を乗り出した。
ケース① ビクトールの場合。
「マジか。あー・・・いつのときのだろーなぁ・・・黒髪だからナージャか? いや、あいつなら置いてくようなことはしねぇしな・・・アリサ・・・ラプラ・・・ルファス・・・ダメだわかんねぇ。わりぃなぁ、こんな親父でよー」
そう言って、ひょいと何の気負いもなく抱き上げた。
器がでかいのか楽観主義なのか何も考えてないのか、判断がつきにくい。
ケース② シーナの場合。
「え、俺!? いやいやそんなはずねぇよ! そりゃ綺麗なお姉さんには声かけるのは俺の使命だと思ってるけど! でも俺まだ・・・!」
と言ったところで口を押さえて黙ったけれど、先を少し読めば余計なことまで口走ってくれたようで、生温い視線で見てやった。
うんうん、歳相応じゃねぇの。
ケース③ タイ・ホーの場合。
「おぉ、そうか。よく来たな。おい、ヤム・クー! お前の弟分だ! 世話頼むぜ!」
相手がどうとか全く気にする素振りもなく、多分全面的に苦労するのはヤム・クーだけで、タイ・ホー本人は笑って見てるだけだなとありありと解る状態に苦笑。
いきなり矛先が向いたヤム・クーは、何言ってんですか勘弁してくださいよー! と言っていたが、どこ吹く風だ。
船乗りは今も昔も大味らしい。
そしてケース④ フリックの場合。
「おっ・・・俺はッ・・・オデッサ一筋で・・・ッ・・・!」
「でも父親はフリックさんだって」
「そんなはずは・・・!」
そのときは丁度起きていた赤子と、合計四つの目でじっと見つめると。
「ちが・・・ッ・・・違うんだオデッサあぁあああぁぁ!!!」
赤くなったり白くなったり忙しかった、ちょっとゆうめいな青い人は、結局黒い陰を背負って絶叫しながら走り去った。
何とも服装どおりの人である。
「・・・・・・・・・ッ・・・ッ!」
話の途中で赤ん坊は目を覚まし、タイミングよくフリックのときにキャッキャと笑い声を上げた。既に手馴れたようにあやすテッドは、ムチムチとした腕を取って遊んでいる。
「おー、お前も楽しかったかー?」
ニコニコと二人が笑顔でほのぼの空気を作っているのだが、残りの二人はそれどころではない。
「ちょ・・・なにそれ・・・!」
「さすがだよ、フリック・・・!」
本人の尊厳や立場を考慮し、声を上げることは拳を握って堪えた。だって何だその反応。
「いやー、俺も悪いことしちゃったなーって・・・まさかそうくるとは・・・」
なぁ、と言って赤子に視線を投げると、解っているかのように、あうーと返すものだからトドメだった。
もうダメだ。
「あっはははははは!!」
多分このフロアにいる全ての人間に届いただろう笑い声。それ自体は珍しいものではないが、ここまで爆笑と言うのはなかったかもしれない。
軽くなった身体を持て余すように、ティルは階段を上る。
もう少し経ったら、執務室までお茶のデリバリーをとラズロに頼んだから、まだ子守り中のテッドと一緒に来てくれるだろう。
「あら、坊ちゃん。ずいぶん楽しそうですね」
最上階のフロアに辿り着いたとき、目の前を歩いていたクレオに声をかけられた。軽くなったのは身体だけではなかったらしいと苦笑する。
「そうだね。楽しかった」
思い出して口元を緩めたティルに、そうですか、それは良かった、と笑った彼女は、そういえば、と続けて言葉を発した。
「テッド君が子供を抱いているのを見ましたが」
「ああ」
広いとは言っても限りのある城内だ。しかも、それが見知った相手の話題なら、集めようとしなくても情報は回ってくる。
「遠目で見ただけですけど」
どうしたんでしょう、と首を傾げて言う。
「僕らの子だよ」
悪戯心が湧いてテッドの真似をしてみた。僕の、ではなく僕らの、と、少しグレードを上げて。
ニ、三度ぱちぱち瞬きをしたクレオは、意味を噛み締めて破顔した。
その日の夕食は赤飯で。
あれ、何かありましたっけ、とテッドが言うから。
「何言ってるんだい、お祝いじゃないか」
坊ちゃんとテッド君の子供が生まれたお祝い。
「・・・・・・・・・・え、と」
クレオとティルがにこにこと良い笑顔で返し。
一連の話を全く知らず、後ろでむせているパーンと。
何だこれ、一体どこまで妙な情報が流れてんのかすげぇ不安、と思いながら薄ら笑いを浮かべるテッドと。
やたらと豪勢な食卓を囲み。
とりあえず。
「だから俺は産めませんてば! っつーかさっきも言ったけど何で相手お前!?」
このままだと、何故かテッドが子供を産めることになりかねないので、全力で否定しておいた。
